EU規制に従い乗客にマスク使用を義務付けたスウェーデン航空会社SASに不満を漏らすスウェーデン公衆衛生局
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は27,909人、死亡者3,460人、100万人あたりで感染者は2,763人、死亡者は343人にもなっています。
日本の感染者数が15,968人、死亡者657人、100万人あたりで感染者は126人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は68倍以上も日本より高いことになります。
EU規制に従い乗客にマスク使用を義務付けたスウェーデン航空会社SAS
5月13日のヨーテボリ新聞によると、欧州委員会(EU)はヨーロッパ内での旅行や観光が段階的に地域ごとにまもなく開始されると発表しました。
それにあたりEUは、感染のリスクを減らすために各航空会社に、一連のガイドラインを提示しました。
そのガイドラインの中に、飛行場、飛行機内でマスクを使用することが示されています。
このEUのガイドラインをうけ、スウェーデンの航空会社SASは5月18日から8月31日まで、6歳以上の乗客全員への飛行機内でマスクを着用することの義務付けをしました。
これまでスウェーデン公衆衛生局は「マスクはコロナ感染保護にはまったくたたない。またマスクがコロナ感染保護になるという科学的証拠がない」と言い放ってきました。
しかし今回SASは運行を開始するためには、EUのガイドラインに従う必要があるため、マスクの使用を義務付けることになりました。
日常からマスクをよく使用する日本人としては、逆になぜ今までマスクを使用しないでいたのか、多きな疑問はあります。
しかし徐々に世界でもマスクが感染拡大防止に役立つことが認識されはじめ、EUおよびスウェーデンの航空会社SASでもマスクの使用が義務付けられ一歩前進したことになります。
EUに従う航空会社SASに不満を漏らすスウェーデン公衆衛生局
しかし5月13日の新聞ディナ・ペンガーによると、スウェーデン公衆衛生局のリーダーである国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏は、このSASのマスク義務化決定の際に相談を受けていないため大いに不満があると報じています。
そして国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏は、
「なぜ(マスク)をする必要があるのか、基礎知識や裏付けがない」
「なぜ(マスク)をするのか、それが私の政策より勝っているとは言えない」と語り、
テグネル氏に相談もせずEUの指示にし従い乗客にマスク使用を義務付けたことに不満を語っているのです。
しかしSASは同社のプレスリリースの中で、「SASは業界標準に従っているだけだ」と記しています。
これからわかるように、SASはマスクを義務付けるEUのガイドラインと、マスクを強く推奨しないというスウェーデン当局の主張のはざまに立たされているのです。
こうした公衆衛生局のリーダーである国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏の発言を聞くとまるで、小さな子どもが間違っているにもかかわらず片意地をはり、自分が正しいとダダをこねているようにも聞こえてきます。
しかしテグネル氏は子どもではありません。
テグネル氏はスウェーデン国民1023万人の生命と健康を背負っている公衆衛生局の長である国家疫学者です。
世界中の多くの国で、マスクがコロナ感染防止の使用されている現状下で、仮に彼の考えが間違っていたら自身の保身やプライドのためでなく、間違いを素直に認める必要があるのではないでしょうか?
しかしこうした国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏の発言を聞くと、本当に国民の生命や健康に対する責任を持つ人物であるのか疑問を感じるのです。
またさらにこうした人物を国家疫学者として選ぶ組織の体質や、またこれほどまで批難をあびつつも、いまだに公衆衛生局のリーダーとして着任し続けられる、組織構造にも大きな問題点があることがわかるのです。
スウェーデン政府が高齢者施設への追加資金を発表
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は26,670人、死亡者3,256人、100万人あたりで感染者は2,641人、死亡者は322人にもなっています。
日本の感染者数が15,847人、死亡者633人、100万人あたりで感染者は125人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は64倍以上も日本より高いことになります。
スウェーデン政府が高齢者施設への追加資金を発表
政府は高齢者介護や医療を強化するために22億ククローナ(約241億円)を今年度と来年度に当てると発表していました。
しかし5月12日の公共テレビSVTによれば、政府は今年度と来年度で合計47億クローナ(約516億円)に増額し、高齢者介護や医療を強化当てると発表しました。
そして今年度は27億クローナ(約296億円)を、残りを2021年度の資金として当てられるとのことです。
さらにその資金のうち22億クローナ(約241億円)は高齢者介護や医療を強化に使われる予定であり、その資金で高齢者介護スタッフや介護助手、または看護師としてトレーニングに費やす予定だとのことです。
中央党の政治経済担当スポークスマンのエミールケルストロムも、スウェーデンの高齢者介護を強化する必要があり、そうした高齢者介護をビジネスとする企業に支援する必要があると語っており、スウェーデンが高齢者コロナ対策に力を入れ始めてきたことがわかります。
長年にわたる政府による高齢者介護施設問題の無視とコスト削減
5月10日の新聞DIによれば、スウェーデンでは3,100人以上がコロナ感染で死亡しています。そして死亡者のほぼ半数が高齢者施設で発生しており、多くの人々に不安や心配を生んでいると報じています。
そしてここまでスウェーデンで多くの高齢者の死亡者を生んだ理由として、ストックホルム大学の高齢者政策専攻のマルタ・セベヒーリー名誉教授は
「長年にわたる政府による高齢者介護施設問題の無視とコスト削減」と語っています。
実際にスウェーデンでは2000年以降、高齢者介護施設数が30%減少しています。
マルタ・セベヒーリー名誉教授によると、こうした高齢者施設の減少が、高齢者施設の環境をよくないものにしていうると語っています。
そしてマルタ・セベヒーリー名誉教授は、
「多くの高齢者が病弱です。そのためコロナ危機下での高齢者介護施設では、高齢者の20%が6か月以内に死亡してしまうだろう」と語っているのです。
実際に国民保健福祉委員会によると、特別住宅に住む高齢者79,000人のうち、979人(1%強)がコロナ感染ですでに死亡しているとのことです。
スウェーデン政府は22億クローナを高齢者コロナ対策にあて、高齢者の死亡を減らそうとしています。
しかしいつも資金は投入するものの、具体的な対策は講じられておらず、これまで多くの高齢者の死亡者を出してきているスウェーデンです。
今回の資金増加でも、政府が財布の紐をにぎるだけの財務省のような役割を果たすだけではなく、さらに具体的な政策を打ち出すことで、実際に高齢者の死亡者数が増えないようにしてもらいたいものです。
スウェーデン社会保障危機管理局局長も政府のコロナ初期対応の遅さを指摘
- 本日のスウェーデン感染者状況
- 北欧諸国と比較しても死者数の多さ
- 首相・社会大臣も高齢者コロナ対策の失敗を認める
- スウェーデン社会保障危機管理局局長も政府のコロナ初期対応の遅さを指摘
- スウェーデン社会保障危機管理局の責任
- 当局同士の責任のなすりつけ合い
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は26,322人、死亡者3,225人、100万人あたりで感染者は2,606人、死亡者は319人にもなっています。
日本の感染者数が15,777人、死亡者624人、100万人あたりで感染者は125人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は63倍以上も日本より高いことになります。
北欧諸国と比較しても死者数の多さ
スウェーデンは世界でも唯一といわれるほど、いまだに具体的なコロナ規制を行っていない国です。
しかしスウェーデンの死亡者数は他の北欧諸国と比較しても、桁違いに多い死者数を出しています。
5月10日のアワー・ワールド・イン・データによる 北欧4カ国でのコロナ死者数を比較するとつぎの表で示されます。
スウェーデン1カ国だけ、コロナによる死者数が桁違いに多いことがわかります。
首相・社会大臣も高齢者コロナ対策の失敗を認める
こうしたスウェーデンにおける高齢者の死者数の増大に、4月25日に与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者介護における感染拡大は「間違いなく大きな失敗だ」と発言し高齢者コロナ対策の失敗を認めました。
また5月7日の公共テレビSVTによれば、スウェーデンのローベン首相もスウェーデンにおける高齢者のコロナ対策が、失敗であったことを認めたと報道されたのです。
スウェーデン社会保障危機管理局局長も政府のコロナ初期対応の遅さを指摘
さらに5月11日の新聞SvDによれば、スウェーデン社会保障危機管理局(MSB)のダン・エリアソン局長も、政府はもっと「迅速にコロナ対応ができたはずだ」と発言しています。
スウェーデン社会保障危機管理局(MSB)とは何かというと、防衛省の下に組織されたスウェーデンの行政機関で、市民保護や公共の安全、緊急管理、および市民防衛に関する問題に責任を負う機関です。今回のコロナ危機でもその対策を担っています。
新聞SvDの記事でスウェーデン社会保障危機管理局のダン・エリアソン局長は、政府がもっと迅速に対応できていれば、これほどまで死者数が増えていなかったと発言しています。
スウェーデン社会保障危機管理局の責任
しかし3月15日の新聞アフトンブロデットによれば、政府は国境閉鎖の代わりに、政府発信のコロナ情報発信をするのため7,500万クローナ(約8億2千万円)を、MSBに投じたと報じられています。
それではMSBはこの7,500万クローナ(約8億2千万円)もの資金を何の対策のために使用していたのでしょうか?
4月8日の公共テレビSVTによると、公衆衛生局はMSBと協力して、携帯通信企業テリアの携帯から個人情報を収集して、コロナ感染情報を関連のアプリを開発しているとのことです。
しかしこうした個人の携帯情報を取得してまで作ったMSBのコロナアプリですが、実際にはいまだスウェーデンの死者数は増加傾向が続いており、このアプリがコロナ拡大防止の役立っているとは言い難い現実があります。
MSBは政府の初期対応が遅いと政府を指摘していますが、7,500万クローナ(約8億2千万円)もの資金を投入し作ったMSBのアプリも、拡大防止の役にはたっておらず、コロナ対策を練るべきMSBの不十分なコロナ対策の実態もみえてくるのです。
当局同士の責任のなすりつけ合い
こうしたスウェーデン首相や社会大臣、社会保障危機管理局長が次々とスウェーデンのコロナ戦略の間違いを認めつつありますが、反面スウェーデンの当局は、自分たちがコロナ対策の責任をかぶらないようにお互いに、責任のなすりつけ合いをしているようにもみえるのです。
その最たるものとして、ローベン首相が3月22日にテレビ演説の際に述べた「コロナ拡大防止は国民一人ひとりの責任である」という発言です。
他の機関に責任を押し付けるどころか、国民にコロナ拡大防止の最終責任を負わせる発言もしているのです。
政府発表による1週間で10万人のコロナ検査実施の不確実性と自治体の苦悩
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は24,623人、死亡者3,040人、100万人あたりで感染者は2,438人、死亡者は301人にもなっています。
日本の感染者数が15,477人、死亡者577人、100万人あたりで感染者は122人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は60倍以上も日本より高いことになります。
4月17日に1週間で10万人のコロナ検査実施すると公言したスウェーデン政府
4月17日の公共テレビSVTによると、スウェーデン政府は数週間後に、1週間で5万人から10万人のコロナ検査を実施すると公表しました。
スウェーデンの人口は1,023万人です。そうすると1週間で人口の約1%の人がコロナ検査を受けられることになります。
コロナ検査を大量に実施していると報道されるドイツでさえ、1週間で35万人、人口の約0.4%の人しかコロナ検査を受けれていません。
しかしスウェーデンで1週間に10万人の検査実施は、ドイツの2倍以上のコロナ検査を実施していくことなのです。
そのため私の4月19日のブログで、スウェーデンがドイツの2倍以上のコロナ検査を本当に実施できるのか疑問点を記しました。
1週間で10万人のコロナ検査実施の不確実性と自治体の苦悩
4月17日にローベン首相は数週間後に10万人のコロナ検査実施可能と公言しました。
通常、「数週間」とは通常2、3週間のはずですから、本日5月8日がちょうど3週間後になります。
実際に1週間で10万人のコロナ検査が可能となったのでしょうか?
5月9日の公共テレビSVTによれば、「1週間に10万人のコロナ検査実施への不確実性」とした記事を記しています。
記事によれば「先週は2万9,000人の検査分析された」と報じられています。
スコーネ県では、政府のコロナ検査増加の発表後に自治体が検査拡大の努力を続け、1週間の検査数が25〜30%増加し、検査数が合計1,200を超えただろうと推定しています。
しかし政府の公言した10万人には程遠い結果であることがわかります。
そのため記事でも、
「いくつかの地域では今後どのような方法で検査数を増やすのか疑問に思っている人がいる。政府の公言した1週間で10万回のコロナ検査実施に到達するには、毎日数万回以上の検査が必要になります。その実施に対する責任は県や地方自治体にある」と報じられています。
この記事からわかることは、10万人もの検査が可能かどうかの疑問に加え、スウェーデンでは政府が具体的政策をもたず1週間に10万人検査実施を公言しても、その責任は地方自治体に負わされている事がわかります。
さらに地方自治体は政府からの強い検査数増大要求を受け、今後さらに検査数の増大を迫られています。
そうしたさらなるコロナ検査数の増大に関して、イェムトランドハージェダーレン県の責任者である感染管理医師であるミカエルヴィデストロムは、
「これ以上検査数を増加するのは不可能です」と語っています。
ストックホルムの地域開発評議会のエラボーリ氏も、
「政府は政策を明確にしなければならない。どのように検査数を増やすのか、またその検査の目的は何なのだ?」と語っています。
またヴェストラヨータランド地域のコロナ検査担当のパー・シコラ氏も、
「スウェーデンが10万のコロナ検査実施をしても、検査ラボが対応できなければ意味がない」と語っています。
このように政府は具体的な政策もなく、1週間に10万人検査実施と実現可能かどうかわからない検査数を公言したにもかかわらず、その実施に関する責任は地方自治体におしつけています。
そのため地方自治体はその具体策のない政府の発言に苦労を強いられているのです。
実施までの期限と有言実施
4月17日に政府は「数週間後」に実施可能と公言しました。
「数週間」とは通常2、3週間のはずですから、本日5月8日は公表からちょうど3週間後にあたります。
しかし3週間過ぎた現在でも、10万人の検査は実施されておらず、さらに実施可能な具体的な検査方法も確立されていない状況です。
しかしSVTによると1週間で10万人の検査実施は5月中旬であろうとのことです。
中旬が15日と考えると、1週間後の5月15日がちょうど中旬にあたり、まだ1週間ほど期間あります。
5月15日を迎えることで、本当にスウェーデン政府が、ただの口先だけのコロナ対策を実施しているというアピールるでなく、有言実行するのかわかるはずです。
もし実施できるならば、政府は実施可能という確証があり、人口当たりではドイツの2倍以上の検査をすると自信をもって公言していたことになります。
しかしもし実施できなかった場合は、いつもよくあるスウェーデン流の過去の発言に責任を持たない発言であり、一時的な政府への非難を回避のための発言、世界へスウェーデンは対策をしているとアピールをする発言であったと受け取れるのです。
ただ期限まで1週間ありますので、スウェーデン政府が口先だけでなく、有言実行することを願っています。
スウェーデン首相、ついに高齢者コロナ戦略の失敗を認める!
- 本日のスウェーデン感染者状況
- スウェーデン首相、ついに高齢者コロナ戦略の失敗を認める!
- エーテル改革による民営化の失敗
- 高齢者虐待のカレマスキャンダル
- いまだ全般のコロナ戦略は間違っていないと語るローベン首相
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は24,623人、死亡者3,040人、100万人あたりで感染者は2,438人、死亡者は301人にもなっています。
日本の感染者数が15,253人、死亡者556人、100万人あたりで感染者は121人、死亡者は4人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は75倍以上も日本より高いことになります。
スウェーデン首相、ついに高齢者コロナ戦略の失敗を認める!
5月6日のブログでもスウェーデンでは非常多くの高齢者が亡くなっていることを記しました。
そして5月7日の公共テレビSVTによると、スウェーデンのローベン首相もスウェーデンにおける高齢者のコロナ対策が、失敗であったことを認めたと報道されています。
記事によるとローベン首相は高齢者を感染から保護に関して失敗したとし、
「明らかに、高齢者介護スタッフの状態を改善する必要がある」
「民間事業の委託方針について再度考える必要がある」と語っています。
www.svt.se
4月25日に与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者介護における感染拡大は「間違いなく大きな失敗だ」と述べたのに続き、スウェーデンのローベン首相も、スウェーデンの高齢者に対するコロナ対策が失敗であったことを認めたのです。
エーテル改革による民営化の失敗
ローベン首相は、高齢者コロナ対策が失敗した理由の1つに、高齢者施設の民営化をあげています。
そしてローベン首相は、
「私は高齢者介護の民営化自体は間違っているとは思わない。公的部門に私的な要素を取り入れる必要がある。しかし一方で、責任の分担を検討する必要がある。これらが良好な条件であり、(民間事業への)委託方針が正しいかどうか再度考える必要がある」と語っています。
それというのはスウェーデンでは、1992年に実施された「エーデル改革(高齢者介護改革)」以降に高齢者福祉が民営化され、高齢者介護の業務は県から地方自治体へ移され、高齢者の特別住宅が整備されました。
そして民間企業への業務の委託が広まりましたが、民営施設への公的監視は厳しくされてきませんでした。
さらに国も地方自治体も、施設の質の向上や運営の透明性に十分に目を向けてこなかったため、高齢者施設での多くの問題や事件も起きてしまったのです。
高齢者虐待のカレマスキャンダル
その1つの事件として、2011年にカレマスキャンダルと呼ばれる、スウェーデンの社会に衝撃を走らせた事件が起きました。
このスキャンダルは国内大手の高齢者介護施設、カレマのずさんな実態が表面化した不祥事です。
ベンチャー企業であるカレマは投資家の収益重視の運営を行い、サービスの質を下げてまでコスト削減を行っていました。
そのため人件費節約のために、夜は入所者をベッドに縛り付けたり、オムツ交換も一定の重量になるまでしてはいけないという指示も出していました。
このカレマスキャンダルにより、スウェーデンの高齢者施設での衝撃的な実態が明らかになったのです。
このようにエーテル改革により民営化された介護者施設は、コスト重視となりコスト削減を迫られたことで、サービスや介護の質の低下、老人ホーム内での犯罪件が発生など多くの問題を生んでしまったのです。
そしてこうしたエーテル改革による民営化の影響が、今のコロナ危機下でも大きく影響し、スウェーデンにおける多くの高齢者の死亡に繋がっていると、ローベン首相も語っているのです。
いまだ全般のコロナ戦略は間違っていないと語るローベン首相
ただローベン首相はスウェーデンでの全般的なコロナ戦略に対しては、自信を持っているとSVTの記事では記されています。
しかしどうすればローベン首相はスウェーデンのコロナ対策へのいまだに自信を持ってるのでしょうか?
現在のスウェーデンのコロナによる死亡率は、他の北欧諸国と比較しても10倍以上高い死亡率です。
またワールドメータズの統計データによる回復者数・死亡者数の割合による死亡率は
スウェーデン:70.09%(4月28日時点)
デンマーク:6.51%(4月29日時点)
フィンランド:6.85(4月29日時点)
ノルウェー:(データなし)
日本:14.85%(4月29日時点)
もし今後さらに死亡者が増え続けた際、本日のローベン首相が高齢者へのコロナ戦略が間違っていたと発表したように、スウェーデンの全般的なコロナ戦略が間違っていたと発表する日がくるのではないでしょうか?
そうしたとき誰がこれほどまでの死亡者を生んだ、責任を取るのでしょうか?
スウェーデンは世界の国々のコロナ戦略に意を唱えつつも、スウェーデンは独自路線として、世界とは全く違うコロナ戦略をとっています。
しかし現実的にはスウェーデンでは非常に多くの死亡者がでています。
将来的にさらに死亡者が増え、やはりスウェーデンのコロナ戦略が間違っていたと認めた時、政府や公衆衛生局の数人が辞任をして責任問題が解決するほど簡単な状況ではないはずです。
そのため一刻も早くスウェーデンのコロナ戦略を見直し、少しでも多くの人たちが死亡しない対策の実施を切に願っています。
メディアが日本とスウェーデンのコロナ戦略を比較報道する必要性への疑念
- 本日のスウェーデン感染者状況
- 日本とスウェーデンのコロナ拡大防止への責任の違い
- 日本とスウェーデンの高齢者死亡数の違い
- 週刊誌ニューズウィーク:スウェーデンのコロナ死亡率がアメリカや中国の2倍超に
- 日本とスウェーデンのコロナ戦略を比較する必要性への疑念
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は23,216人、死亡者2,854人、100万人あたりで感染者は2,299人、死亡者は283人にもなっています。
日本の感染者数が15,253人、死亡者556人、100万人あたりで感染者は121人、死亡者は4人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は70倍以上も日本より高いことになります。
日本とスウェーデンのコロナ拡大防止への責任の違い
スウェーデンは世界でも唯一といわれるほど、具体的なコロナ規制をださない国です。
ときどき日本のメディアでは、「自粛」という点でスウェーデンと日本が同じだと報道されています。
しかし本当にスウェーデンと日本が同じなのでしょうか?
まず大きな違いは、日本ではコロナ感染防止対策の責任は政府が持っています。
しかしスウェーデンでは、スウェーデンのローベン首相が、「コロナ感染拡大防止は国民一人ひとりの責任」だと公言しているのです。
そしてスウェーデン公衆衛生局は、コロナ感染拡大防止のための「勧告」を発表していますが、これはあくまでアドバイス程度のものであり従う必要はないのです。
また日本で批判は相ついでいますが、国民1人あたりに10万円の支給金、マスクの支給、などの具体的な対策が講じられています。
しかしスウェーデンでは国民への支給金はありません。
またマスクの配布どころか、多くのヨーロッパ諸国でもマスクの使用を始める中、いまだマスクはコロナ予防にならないと発表しています。
そのため老人ホームでマスクを使用しない介護者や面会者がおり、老人ホームでの感染拡大が起きたと、4月7日の公共テレビSVTでは報じられています。
ただ5月3日のSVTによれば、コロナ感染拡大を防止の為高齢者向け住宅への訪問禁止が禁止になっていますが、ファルケンベルク市では高齢者との面会がまだ可能です。
そのためにファルケンベルク市では、ガラス越しで面会できるような場所を設けているところもあるとのことです。
日本とスウェーデンの高齢者死亡数の違い
しかしスウェーデンでは高齢者の死亡率が非常に高い実態があります。
ドイツの統計データ企業であるスタティスタの統計データを使用し、日本とスウェーデンの高齢者死亡数を比較したものが次のようななります。
スウェーデンでの年齢別死亡者数
60歳から69歳:223人
70歳から79歳:674人
80歳以上: 1,902人
60歳以上の高齢者死亡数合計:2,799人
日本での年齢別死亡者数
60歳から69歳:38人
70歳から79歳:90人
80歳以上: 199人
60歳以上の高齢者死亡数合計:327人
スウェーデンと日本の高齢者死亡数比較の結果
60歳以上の高齢者の死亡数の比較
結果:スウェーデンは日本の8.5倍以上高い
人口あたりの60歳以上の高齢者死亡数の比較
結果:スウェーデンの60歳以上の高齢者死亡数は日本の105倍以上も高い
週刊誌ニューズウィーク:スウェーデンのコロナ死亡率がアメリカや中国の2倍超に
こうした死亡者数の多いスウェーデンに対し5月1日のニューズウィークでは、
「「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に」というタイトルで記事が書かれています。
その記事によれば、
「ロックダウンに頼らない独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、感染者が増え続けている。しかも米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は4月30日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ。」
スウェーデンでは全国的な移動規制や外出制限をしないという独自路線を貫き、その緩い対策が世界的にも論議を呼んでおり、
「より多くの人をウイルスにさらすことで集団免疫を獲得する、というスウェーデンだけの「人体実験」には国内から反対も出始めている」と記しています。
そしてドナルド・トランプ米大統領は4月30日朝、公式アカウントにツイートで
「封鎖措置を取らなかったスウェーデンは、その決定の手痛い代償を払っている」
「同国では30日の時点で、死者数が2462人にのぼっている。近隣のノルウェー(207人)、フィンランド(206人)やデンマーク(443人)よりもずっと多い。アメリカは正しい決断を下したのだ」と記しています。
日本とスウェーデンのコロナ戦略を比較する必要性への疑念
このように日本のコロナ規制が、「自粛」という言葉上だけの点でスウェーデンのコロナ規制と同じであると報道されることもあります。
しかし実際にはコロナ感染防止に対する責任や具体的な対策・規制、また結果として現れている死亡者数から、日本とスウェーデンのコロナ戦略は根本的に違うものなのです。
また日本のメディアではスウェーデンだけが、ロックダウンをしていない国のように報道されています。
しかし実際にはフィンランドもノルウェーもロックダウンはしていません。
フィンランドでは、10人超の集会の禁止、公営博物館・劇場・文化施設・図書館やスポーツ施設の閉鎖、学校や大学の閉鎖をしています。
しかし外出は日本と同様に今までどうり可能で、必要なければ外出しないように「自粛」を呼びかけています。
日本も世界でいち早く学校閉鎖をした国です。
そう考えると日本のコロナ政策はフィンランドが行うコロナ政策に近いものだと考えられるのです。
ではなぜ日本のメディアではあえて、スウェーデンのコロナ対策と日本のコロナ対策を比較する必要があるのでしょうか?
日本のメディアでは、何かあれば「スウェーデン=正しい」として報道し、視聴者をある一定の思考に誘導する思惑があるようにも感じとれます。
スウェーデンの政策が良いか悪いかはともかく、非常に多くの高齢者の死亡者がでているスウェーデンです。
これまで私たち社会を築いてきてくれた高齢者の方々が、少しでもお亡くなりにならないことを願うばかりです。
スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(後半)
スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(前半)
このブログは「スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(前半)」からの続きとなっています。
上記のブログをお読み頂き(後半)をお読み下さい。
産官学一体型の国家構造
ここで少し踏み込むと、スウェーデンという国の構造に問題が浮かび上がってきます。
あまりここでは深く具体的には記しませんが、スウェーデンでは産・官・学が一体となった、他の先進国とは少し違う特殊な国の構造があるのです。
簡単にスウェーデンの国の構造をイメージするために、日本の原子力村ムラを例えにだし説明します。
日本には原子力村という原子力発電を巡る利権によって結ばれた、産・官・学の特定の関係者によって構成された特殊な社会的集団があります(知恵蔵より)
そして2011年の福島第一原子力発電所事故により、原子力を巡る産・官・学の癒着や閉鎖性がマスコミなどによってクローズアップされました。
マスコミ各社からも、原発批判勢力とは無関係に安全性や経済性にわずかでも疑義を示しただけでも、論難を浴びせてムラからの放逐を図るなどのムラの傾向が指摘され、原発の安全性確保を脅かす結果につながったのではないかとの批判があります。
そのためメディアの中では電力会社の非難がタブーとなっており、電力会社への非難しずらい構造となっています。
また原子力反対派の原子力学者は、京都大学の小出裕章准教授のように異端者とされてしまうのです。
また原発誘致で資金を得る地方自治体や住人も、原発は反対であるものの一旦誘致されてしまえば、自治体の行政サービスがこの原発マネーに深く依存してしまう現実があるため、反対の声を唱えることはありません。
これが日本における原子力ムラの構造です。
そしてスウェーデンもこうした日本の原子力ムラと似た構造となっています。
しかしスウェーデンではこれが一部の自治体だけではなく、国全体がこの原子力ムラと似た国家構造となっているのです。
例えばスウェーデンは平和主義を唱えるものの、2014年のアメリカのビジネス誌ビジネス・インサイダーによれば、人口当たりにするとイスラエル、ロシアに次ぐ3番目の武器輸出額であり、武器輸出総額でも世界で11番目につける軍事輸出国家です。
そして国内で約3万人が軍事産業企業で雇用されています
またスウェーデンの軍事産業の歴史は長く、1600年代前半から本格的に確立されています。
そして軍事産業が大きな産業として成長しており、その軍事産業を軸として多くの産業が成り立っているのです。
これを読まれた方の中にはスウェーデンの軍事輸出費は、総輸出額と比較し1%にも満たないという方もいるかもしれません。
しかし軍事産業はデュアルユース(軍民両用技術)が進んでおり、軍事技術からその他の多くの産業や研究分野への技術的なスピンオフ効果があります。
そして軍事開発と生産に投じられた投資額に対して、2.6倍の波及効果があるとも言われているのです。
そのため軍事産業がスウェーデンの経済に与える影響は非常に大きいのです。
しかしスウェーデン人でもスウェーデンの軍事産業を知る人はあまりいません。
その理由の1つとして、日本の原子力ムラがメディアで報道されないのと同じように、スウェーデンにおける巨大な原子力ムラと似た構造の中で、スウェーデンのメディアも大きく軍事産業の実態を真っ正面から報道することはしません。
まして公共テレビSVTの理事会は与党・社会民主党員が多数在籍しています。そのため国民が最も信頼するメディアであるSVTでは政府擁護の報道になりやすい傾向があります。
そのため国民もスウェーデンが産官学一体型の国家構造であると知らない人たちが大半なのです。
仮に知っていたとしていても、国民はこの原子力ムラの存在により利益を得る人たちであり、今もっている利益を捨ててまでこの構造を非難する人も多くはないはずです。
ただもちろんこれを非難するスウェーデン人もいます。
今回の政府のコロナ対策においても、ウプサラ大学の医学生化学ビョルンオルセン教授のように「今すぐ社会を閉鎖せよ」と声をあげ、政府のコロナ戦略を非難している人もいます。
しかしこうした巨大な構造の前にこうした反対派の意見が世の中に広まることはほとんどありません。
産業界の強い影響力
そうした産官学が一体化となったスウェーデンの国家構造ですが、その中で産業界は非常に強い影響力をもっています。
スウェーデンのビジネス・産業の研究を専門とする民間独立財団IFNの2011年レポートにおいても、スウェーデンでは産業界の力が非常に強いことが記されています。
そのため産業界から強い影響を受けた政府や公衆衛生局が、企業保護を優先した経済重視のコロナ対策に舵を切ったとも考えられるのです。
そうした企業利益保護重視し経済主体のコロナ戦略のもと、現場への指導方針やガイドラインがもうけられたと考えられます。
そして医療機関の中では一組織に過ぎない病院や老人ホームは、必要な人員も確保できず、コスト削減をも迫られたと考えられるのです。
そうした当局による戦略のしわ寄せが、自分が感染するかも知らない不安の中、必死で働く医師や看護士、介護士など現場の人たちに大きくかぶさってしまっていると考えられます。
今回の病院でのコロナ検査の2回目未実施であった件だけではなく、ストックホルムの病院で高齢者を集中治療室に送らないガイドラインの件も、病院や現場の医師・看護師はスウェーデン当局の指示に従っただけのはずです。
また老人ホームにおいて介護者がマスク未使用で感染が広がった件も、介護者がマスクを意図的に使用しなかったわけではなく、公衆衛生局がマスクの使用はコロナ感染防止にならないと発表していたためです。
老人ホームで働く介護者も当局の指示に従っただけであります。
このように現在スウェーデンでは多くの死亡者がでていますが、こうした事態を招いているのは現場で必死に働く医師や看護士、介護者の方々に問題があるわけではなく、そうした政策を打ち出している政府や公衆衛生局に大きな責任があるのです。
そしてさらに追求していくと、具体的なコロナ規制を特にもうけず、経済、企業保護重視の政策に舵を切ることになった背景には、スウェーデン特有の産官学が一体となり、中でも産業界の力が非常に強いという国の構造が起因していると考えられるのです。
考察: 集団感染戦略と経済重視主義
また一般的にスウェーデンは集団感染戦略をとっているといわれています。しかし当初、3月15日に公衆衛生局のアンダーシュ・テグネル氏は集団感染戦略を否定していました。
しかしその後に集団感染を戦略として肯定しているのです。
これをスウェーデンの構造から考えると、経済重視政策を進める上で、集団感染戦略というのは後付けの理由であるようにも見えてきます。
アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーはメディアコントロールについて指摘しています。その手法の1つに大衆の気をそらせる戦略というものがあり、重要なものから目をそらせるために、平凡な事を重要視させます。
これと同様に集団感染戦略に人々の目を向けさせ、実際には経済重視の利益主義によりコロナ規制を設けていない事実から、人々の目をそらさせる事が目的だとも考えられるのです。
ただこうした構造はスウェーデンだけではないのかもしれません。
一見、政府が主導を握り、国を動かしていると考えがちですが、どこの国の政府も圧力団体から大きな影響をうけ、政策が練られ実行されているのかもしれません。