スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(後半)
スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(前半)
このブログは「スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(前半)」からの続きとなっています。
上記のブログをお読み頂き(後半)をお読み下さい。
産官学一体型の国家構造
ここで少し踏み込むと、スウェーデンという国の構造に問題が浮かび上がってきます。
あまりここでは深く具体的には記しませんが、スウェーデンでは産・官・学が一体となった、他の先進国とは少し違う特殊な国の構造があるのです。
簡単にスウェーデンの国の構造をイメージするために、日本の原子力村ムラを例えにだし説明します。
日本には原子力村という原子力発電を巡る利権によって結ばれた、産・官・学の特定の関係者によって構成された特殊な社会的集団があります(知恵蔵より)
そして2011年の福島第一原子力発電所事故により、原子力を巡る産・官・学の癒着や閉鎖性がマスコミなどによってクローズアップされました。
マスコミ各社からも、原発批判勢力とは無関係に安全性や経済性にわずかでも疑義を示しただけでも、論難を浴びせてムラからの放逐を図るなどのムラの傾向が指摘され、原発の安全性確保を脅かす結果につながったのではないかとの批判があります。
そのためメディアの中では電力会社の非難がタブーとなっており、電力会社への非難しずらい構造となっています。
また原子力反対派の原子力学者は、京都大学の小出裕章准教授のように異端者とされてしまうのです。
また原発誘致で資金を得る地方自治体や住人も、原発は反対であるものの一旦誘致されてしまえば、自治体の行政サービスがこの原発マネーに深く依存してしまう現実があるため、反対の声を唱えることはありません。
これが日本における原子力ムラの構造です。
そしてスウェーデンもこうした日本の原子力ムラとにた構造となっています。
しかしスウェーデンではこれが一部の自治体だけではなく、国全体がこの原子力ムラと似た国家構造となっているのです。
例えばスウェーデンは平和主義を唱えるものの、2014年のアメリカのビジネス誌ビジネス・インサイダーによれば、人口当たりにするとイスラエル、ロシアに次ぐ3番目の武器輸出額であり、武器輸出総額でも世界で11番目につける軍事輸出国家です。
そして国内で約3万人が軍事産業企業で雇用されています
またスウェーデンの軍事産業の歴史は長く、1600年代前半から本格的に確立されています。
そして軍事産業が大きな産業として成長しており、その軍事産業を軸として多くの産業が成り立っているのです。
これを読まれた方の中にはスウェーデンの軍事輸出費は、総輸出額と比較し1%にも満たないという方もいるかもしれません。
しかし軍事産業はデュアルユース(軍民両用技術)が進んでおり、軍事技術からその他の多くの産業や研究分野への技術的なスピンオフ効果があります。
そして軍事開発と生産に投じられた投資額に対して、2.6倍の波及効果があるとも言われているのです。
そのため軍事産業がスウェーデンの経済に与える影響は非常に大きいのです。
しかしスウェーデン人でもスウェーデンの軍事産業を知る人はあまりいません。
その理由の1つとして、日本の原子力ムラがメディアで報道されないのと同じように、スウェーデンにおける巨大な原子力ムラと似た構造の中で、スウェーデンのメディアも大きく軍事産業の実態を真っ正面から報道することはしません。
まして公共テレビSVTの理事会は与党・社会民主党員が多数在籍しています。そのため多くの国民が信頼するSVTでは政府擁護の報道になりやすい傾向があります。
そのため国民もスウェーデンが産官学一体型の国家構造であると知らない人たちが大半なのです。
仮に知っていたとしていても、国民はこの原子力ムラの存在により利益を得る人たちであり、今もっている利益を捨ててまでこの構造を非難する人も多くはないはずです。
ただもちろんこれを非難するスウェーデン人もいます。
今回の政府のコロナ対策においても、ウプサラ大学の医学生化学ビョルンオルセン教授のように「今すぐ社会を閉鎖せよ」と声をあげ、政府のコロナ戦略を非難している人もいます。
しかしこうした巨大な構造の前にこうした反対派の意見が世の中に広まることはほとんどありません。
産業界の強い影響力
そうした産官学が一体化となったスウェーデンの国家構造ですが、その中で産業界は非常に強い影響力をもっています。
スウェーデンのビジネス・産業の研究を専門とする民間独立財団IFNの2011年レポートにおいても、スウェーデンでは産業界の力が非常に強いことが記されています。
そのため産業界から強い影響を受けた政府や公衆衛生局が、企業保護を優先した経済重視のコロナ対策に舵を切ったとも考えられるのです。
そうした企業利益保護重視し経済主体のコロナ戦略のもと、現場への指導方針やガイドラインがもうけられたと考えられます。
そして医療機関の中では一組織に過ぎない病院や老人ホームは、必要な人員も確保できず、コスト削減をも迫られたと考えられるのです。
そうした当局による戦略のしわ寄せが、自分が感染するかも知らない不安の中、必死で働く医師や看護士、介護士など現場の人たちに大きくかぶさってしまっていると考えられます。
今回の病院でのコロナ検査の2回目未実施であった件だけではなく、ストックホルムの病院で高齢者を集中治療室に送らないガイドラインの件も、病院や現場の医師・看護師はスウェーデン当局の指示に従っただけのはずです。
また老人ホームにおいて介護者がマスク未使用で感染が広がった件も、介護者がマスクを意図的に使用しなかったわけではなく、公衆衛生局がマスクの使用はコロナ感染防止にならないと発表していたためです。
老人ホームで働く介護者も当局の指示に従っただけであります。
このように現在スウェーデンでは多くの死亡者がでていますが、こうした事態を招いているのは現場で必死に働く医師や看護士、介護者の方々に問題があるわけではなく、そうした政策を打ち出している政府や公衆衛生局に大きな責任があるのです。
そしてさらに追求していくと、具体的なコロナ規制を特にもうけず、経済、企業保護重視の政策に舵を切ることになった背景には、スウェーデン特有の産官学が一体となり、中でも産業界の力が非常に強いという国の構造が起因していると考えられるのです。
考察: 集団感染戦略と経済重視主義
また一般的にスウェーデンは集団感染戦略をとっているといわれています。しかし当初、3月15日に公衆衛生局のアンダーシュ・テグネル氏は集団感染戦略を否定していました。
しかしその後に集団感染を戦略として肯定しているのです。
これをスウェーデンの構造から考えると、経済重視政策を進める上で、集団感染戦略というのは後付けの理由であるようにも見えてきます。
アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーはメディアコントロールについて指摘しています。その手法の1つに大衆の気をそらせる戦略というものがあり、重要なものから目をそらせるために、平凡な事を重要視させます。
これと同様に集団感染戦略に人々の目を向けさせ、実際には経済重視の利益主義によりコロナ規制を設けていない事実から、人々の目をそらさせる事が目的だとも考えられるのです。
ただこうした構造はスウェーデンだけではないのかもしれません。
一見、政府が主導を握り国を動かしていると考えがちですが、どこの国の政府も圧力団体から大きな影響をうけ、政策が練られ実行されているのかもしれません。
スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(前半)
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は22,721人、死亡者2,769人、100万人あたりで感染者は2,250人、死亡者は274人にもなっています。
日本の感染者数が14,877人、死亡者487人、100万人あたりで感染者は118人、死亡者は4人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は68倍以上も日本より高いことになります。
2度目コロナ検査なく広がった老人ホームでの感染
4月28日の新聞ダーゲンニーヘタによると、80代の高齢者がコロナ感染の疑いがあり病院でコロナ検査が実施されました。
すると陽性であったため病院で48時間待機しましたが、その後症状の悪化がみられなかったため再度コロナ検査することなく、老人ホームに戻されました。
しかしその後にコロナ症状が現れたため、老人ホームでコロナ検査をしたところ陽性と判明したのです。
そのため老人ホームで他の老高齢者にもコロナ感染が広がった恐れがあるとき報じられています。
またこのニュースは隣国フィンランドの新聞yleでも報じられるものでした。
4月25日にレナ・ハングレン社会大臣がスウェーデンのコロナ高齢者対策は失敗だったと語ったように、現在のスウェーデンでは、高齢者へのコロナ感染は非常に拡大しており、多くの高齢者が亡くなっています。
高齢者はこれまで私たちの社会を築いてききてくれた方々です。少しでも高齢者の方の死亡が減ることを願っています。
必死に闘う医療・介護の現場
しかしこの原因は現場で働く医師や看護士や、介護士に問題があるのでしょうか?
医師や看護士、介護士などの現場の人たちが、こうした問題を引き起こしているとは、私は決して考えていません。
現場で働く人たちはスウェーデンに限らずどこの国でも、自分がいつ感染するのかという恐怖と共に、必死で治療や看護を行っています。
4月14日のNHKクローズアップ現代+でも、日本赤十字社医療センターが東京都から現在の病床を1.5倍に増やしてほしいと要請が入り、要請に応えるため、病床をどこから捻出し、スタッフをどの科から集めるかなど検討をしているとのことです。
そして終わりの見えない戦いが続く中、医療スタッフの負担はピークに達しており、
日本赤十字社医療センター 川上潤子看護部長は、
「『自分たちが もしかして』という不安が拭いきれないところが絶対にある。『本当にこのまま家族と一緒に生活する家に帰っていいんだろうか』とか、気持ちの面では、かなり皆さん疲れているんじゃないかな。」と語りっています。
また日本赤十字社医療センター メンタルヘルス科 秋山恵子臨床心理士も、
「ちょっとつついたら割れちゃいそうな風船になっている。はね上がるように。」
と医療スタッフ全体の心の負担がこの1週間で急激に高まっていると語っています。
さらに秋山恵子臨床心理士本人も、
「私もこんなに自分でもストレスを感じたことない。はちきれそうだけど、ぐっと持ちこたえようとしている。世の中の方々にも受け止めて欲しいし、応援してほしい。避けないでって思います。」と話しています。
このように医療現場の人たちは、かつてないほどにのストレスの中、必死で医療活動をしていると報道されていす。
スウェーデンでも同様であり、介護士として働くスウェーデン人は、
「こうしたコロナ感染が広がる中でも公共サービスで働く介護士であるため休暇はとれず、自分が感染するかもしれないという不安の中働いている」と語ってくれました。
このように日本、スウェーデンを含めどこの国でも現場の人たちは、自分がコロナ感染するかもしれない不安の中、必死に治療や介護活動をしています。
それでは何がスウェーデンにおいてコロナ感染拡大や多くの死亡数を引き起こしてる問題のでしょうか?
政府と公衆衛生局の責任
この問題の根本的な原因は、政府や公衆衛生局をトップとする医療機関組織の戦略、さらに大きく言えばスウェーデンという国の構造に起因していると考えられます。
この2度目のコロナ検査を実施しなかった記事に関しても、恐らく現場の医療従事者の人たちも、本当に48時間たって再検査もなく患者を返して平気なのかと疑念を感じていたはずです。
しかし医師も看護士もみな組織の一員です。病院の指示に従う必要があります。
そしてその病院も、スウェーデンの当局の定めた規定に従う必要があります。そこに48時間したら再検査の必用ないと定められていれば、ただでさえ人員不足の状態なので人員やコストをかけてまで再検査をしないはずです。
このように病院もスウェーデン当局の指示に従っているだけであり、大きな医療組織の1つに過ぎないのです。
そして今回のコロナ危機対応を主導しているのが公衆衛生局です。その中でも国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏は、そのリーダーとしてコロナ対策の責任をもっており、毎日のようにテレビに出演し、スウェーデンのコロナ対策戦略に対して非難されています。
しかし政府には責任がないのでしょうか?
スウェーデンでその責任は特殊でありますが、法律によれば政府にも責任があります。
3月30日のスウェーデンメディアであるザ・ローカルでも、ウプサラ大学の政治学科のベンニッチ・ヴョ-マン教授は、実施されたコロナ措置への最終的な責任と説明責任は、政府がもっていることは明白であると語っています。
https://www.thelocal.se/20200330/whos-actually-in-charge-of-swedens-coronavirus-strategy
このように病院や老人ホームは、公衆衛生局や政府の決定に従い定められた規定に基づき、その指示に従い、現場の医師・看護師・介護者も当局からの指示に従っているだけなのです。
そのためこうしたコロナ感染拡大させるような戦略を実施している、政府や公衆衛生局などスウェーデン当局に責任があるはずなのです。
それでは公衆衛生局や政府はなぜこうした政策をとるのでしょうか?
スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(後半)
この続きは「スウェーデンの産官学一体型の国家構造からみたコロナ戦略(後半)」に記載しています。続けてお読み下さい。
アメリカのメディアCNNによる、北欧諸国とスウェーデンのコロナ死者数の比較
- 本日のスウェーデン感染者状況
- 行事ヴァルボリにおける50名を超えるイベント等の禁止への改めた注意喚起
- コロナ規制なく急増する死者数
- 「何が最善の戦略かは誰もわからず、時がたてばわかる」という無責任な公衆衛生局長の発言
- その他の統計データからの北欧諸国の死亡数・死亡率比較
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は21,092人、死亡者2,586人、100万人あたりで感染者は2,088人、死亡者は256人にもなっています。
日本の感染者数が13,965人、死亡者425人、100万人あたりで感染者は110人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は85倍以上も日本より高いことになります。
行事ヴァルボリにおける50名を超えるイベント等の禁止への改めた注意喚起
スウェーデンではいまだにコロナ拡大防止の規制がほぼない、世界でも唯一ともよべる国です。
現在ある規制は、50人以上での集会の禁止、大学・高等学校・職業学校の閉鎖、またレストランやバーで立って食事の禁止です。ただ座って食べれば問題はありません。
4月27日の日本大使館情報によれば、「スウェーデンのミカエル・ダンベリ内務大臣は,今月末のヴァルボリ前に、50名を超えるイベント等の禁止について改めて注意喚起を行った」とのことです。
ヴァルボリとは、毎年4月30日に行われるスウェーデンの祭り「ヴァルボリ Valborg」(ヴァルプルギスの夜)では、冬の間に出た枯れ木や枯葉を集めて大きなかがり火を焚き、春の訪れを祝う屋外でのイベントです。
このヴァルボリで50名以上の人々が屋外でも集まる可能性があるため、ダンベリ内務大臣は、50名を超えるイベント等の禁止について注意喚起を再度しました。
そのため新たな規制が追加されたわけではありません。
コロナ規制なく急増する死者数
こうした全くというほどコロナ拡大防止規制しないスウェーデンを、
4月29日のアメリカのメディアCNNでも記事としてとりあげています。
CNNの記事によると、「スウェーデンは、世界でコロナが拡大の中、感染の異常値を示しています。しかし国民の生活に厳しい制限を課すこともなく、ヨーロッパの近隣諸国のような対策をしていません。」
「いまだに賑わう通りで仕事に向かう人々、カフェやバーでおしゃべりをする人々の画像は眉をひそめるものがある」
「大学や高等学校は遠隔学習に切り替りましたが、中学校未満の若い子どもたちはいまだ学校に通っています。美容院からレストラン、また企業もいままで通り営業を続けていますが、可能であれば自宅で仕事をするようにアドバイスをうけています。」
「4月7日にスウェーデン政府は必要に応じて迅速に一時的措置が決定できる法案を発表しました。介護施設への訪問は4月1日から禁止され、社会省は必要のない旅行は控えるように求め、さらに距離を保ち、個人で責任をとることを加えた」
「同様の文化的、地理的、社会学的属性を共有するもつ北欧諸国の間でも、スウェーデンとの他の北欧諸国は素晴らしほど違う。フィンランドは3月16日に緊急事態を宣言し、学校を閉鎖し、10人以上の集会を禁止しました。」と報じています。
そしてCNNでは北欧の4カ国間でのコロナ規制や感染状況を比較して、簡単に図で表しています。
北欧4カ国でのコロナ規制の簡略図(CNN)
比較結果:スウェーデンは他の北欧3カ国と比べても、レストラン、美容院、学校(一部)の規制がされていない。
北欧4カ国でのコロナ死亡者数の簡略図(CNN)
死亡者数(4月28日時点)
スウェーデン:2,274人
デンマーク:427人
ノルウェー:206人
フィンランド:193人
比較結果:スウェーデンの死亡者数合計は、フィンランドの11倍以上高い
人口10万人あたり死亡数(4月28日時点)
スウェーデン:22人
デンマーク:7人
ノルウェー:4人
フィンランド:4人
比較結果:スウェーデンはフィンランド、ノルウェーと比較すると、人口当り死亡数は5倍以上高い
こうしたCNNの図表からみても、規制のないスウェーデンでは、死者数が他の北欧諸国と比べて、桁違いに多くなっていることが一目でわかるはずです。
CNNの記事の中で、カロリンスカ研究所の微生物学・腫瘍・細胞生物学部門のヤン・アルバート教授も、
「スウェーデンでは今まで他のヨーロッパ諸国よりも多くの死者を出したことは明らかです。それは恐らく少なくとも、私たちが厳格な封鎖をしておらず、法律で強制された封鎖をしていないためです。」と語っています。
「何が最善の戦略かは誰もわからず、時がたてばわかる」という無責任な公衆衛生局長の発言
CNNによると「他国のコロナ戦略はどう思うか?」という質問に、公衆衛生局の国家疫学者アンダーシュ・テグネル氏は、
「予防接種すぐにできる以外は、コロナ感染を抑止するのは集団免疫が唯一の方法だ」
「真実はスウェーデンを含め誰も何が最善の戦略かわからない。時がたてばわかるだろう」と語っています。
これがスウェーデン1,023万人の生命・健康をにぎる、公衆衛生局のトップが語る言葉なのでしょうか?
もし時が来て政策が失敗であり多くの人々が死亡する結果となっていたら、誰が責任を持つのでしょうか?
そうした失敗を最小限に抑えるために、世界の多くの国が手探りながら、さまざまなコロナ対策を講じ、死亡者を減らそうと努力しているのです。
にもかかわらずコロナ拡大防止を国民一人ひとりの責任とし、スウェーデンの戦略が失敗したかは時がたてばわかるだろうとは、あまりにも無責任すぎるのではないでしょうか?
もしこうした当局が何もせず、拡大防止は国民の責任であるという発言がまかり通るのならば、スウェーデンでは国民を守る政府が存在しないのと同じではないのでしょうか?
その他の統計データからの北欧諸国の死亡数・死亡率比較
CNNのコロナ感染による死亡数・死亡率データ以外にも、さまざまな統計データがあります。
4月30日のアワー・ワールド・イン・データによる 北欧4カ国でのコロナ死者数を比較するとつぎの表で示されます。
スウェーデン1カ国だけ、コロナによる死者数が桁違いに多いことがわかります。
またワールドメータズの統計データによる回復者数・死亡者数の割合による死亡率は
スウェーデン:70.09%(4月28日時点)
デンマーク:6.51%(4月29日時点)
フィンランド:6.85(4月29日時点)
ノルウェー:(データなし)
日本:14.85%(4月29日時点)
スウェーデンの回復者数・死亡者数の割合による死亡率がデンマークの10倍以上高いことがわかります。
こうした多くの統計データからスウェーデンの死亡者数・死亡率が極端に高い事実があるにもかかわらず、スウェーデンはコロナ危機が集結するまでは、誰もわからないと言い続けるのでしょうか?
この統計データを見た限りだと、今後どれだけの人が死亡する恐れがあるのか不安が横切ります。
ただ未来は誰にもわかりません。しかし最悪の状態にならない事を願うばかりです。
(5月1日は労働者の日であるメーデーです。ブログをはじめて約1ヶ月ほどたち、毎日ブログを書かせて頂いておりますが今週末はメーデーであることもあり、数日ほどブログ更新をお休みさせていただくかと思います。もしブログを読んで頂けている方がいましたらご了承をお願い致します。)
スウェーデンは高齢者保護よりギャンブル中毒者を危惧?コロナ状況下のギャンブル規制
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は20,302人、死亡者2,462人、100万人あたりで感染者は2,010人、死亡者は244人にもなっています。
日本の感染者数が13,736人、死亡者394人、100万人あたりで感染者は109人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は81倍以上も日本より高いことになります。
高齢者保護よりコロナ状況でのギャンブル中毒者を危惧?ギャンブル規制の開始
4月23日の公共テレビSVTによると、コロナ危機下でギャンブル中毒者が増加しているため、スウェーデン政府はギャンブル中毒者を減らすためにいくつかの規制をすると報道されました。
そのためカジノへの預け入れ金の制限を、週に5,000クローナ(約5万3千円)に減らし、カジノ会社の与えるボーナスは100クローナ(約1,080円)に制限し、カジノでのプレイ時間に制限をかけるとのことです。
このギャンブルへの規制は6月1日に発効され、年末まで適用されることが発表されました。
社会保障大臣のアードラン・シェッカラビ氏によれば、
「今のコロナ危機の中、私たちが目にしている状況は、まるで危険なカクテルのようなギャンブル中毒のリスク増加である」、
「私たち政府はか弱い消費者を保護し、ギャンブル中毒の危険にさらされている人々をこのコロナ状況で確実に守りたい」と語っています。
確かにそうなのかもしれません。
しかし現在のスウェーデンでは、非常に多くの高齢者が死亡しています。
4月25日の新聞アフトンブロデットで、与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者保護のコロナ戦略が間違っていることを認めたほど、スウェーデンでは高齢者でのコロナ感染が広がっているのです。
一般的に考えればそうしたコロナ危機の状況下で、一番救わなくてはならないのは、ギャンブル中毒者の増加防止より、いかに多くの高齢者を死亡から救うことなのではないでしょうか?
ギャンブル中毒者の保護を強く唱え、いかにも人道主義政策を実施している事を強調するスウェーデン政府ですが、
4月23日のSVTのニュースでは、
「毎日の記者会見では、政府は集中治療室にまだ空きがあると強調している。しかし集中治療室利用の優先順位があり、多くの患者が集中治療室への搬送を拒否されている」と報道されています。
そして慢性閉塞性肺疾患やBMIが40以上の人、中毒患者、ペースメーカー利用者など、1つまたは複数の深刻な全身性疾患のある患者には、集中治療室での治療を施すべきではないというガイドラインがストックホルムの病院で存在していたことが判明したのです。
これが政府の考える人道的な高齢者の保護政策なのでしょうか?
しかし日本のメディアではこうしたスウェーデンのネガティブなニュースは、恐らく報道されないはずです。
今回のスウェーデンのギャンブルの規制にしても日本のメディアでは、日本のパチンコ屋はいまだ営業がされコロナ感染を拡大させているが、スウェーデンはコロナ危機下でもギャンブル規制をし中毒者の保護する人道的な国として報道されるのではないでしょうか。
今後日本のメディアでこのギャンブル規制がどように報道されるか注視してみていてください。
きっとスウェーデンは人道的な国であるイメージの報道がされるはずです。
平凡な事を重要視し、重要な事から目をそらせる大衆操作
ただ一般的な日本の常識から考えると、多くの方はギャンブル中毒者の保護より、高齢者保護が最優先されるべきだと考える人が多いのではないでしょうか?
実はスウェーデンではよく物事の優先順位が日本人の常識と違うことが多いのです。
たとえばスウェーデンでは仕事の効率を上げるためには、室内の換気が重要だとか、仕事中でもテレビゲームできるような快適な環境のほうが仕事効率があがるとし議論がされることがあります。
こうしたスウェーデンの働き方は日本のメディアでも、仕事効率のよい国スウェーデンとして取り上げられているはずです。
しかし反面、スウェーデンでは仕事の役割や責任の明確化などは明確にしないことが多く、誰が何の役割や責任をもっているのか不明で、仕事が進まないことが非常に多いのです。
このようにスウェーデンでは重要でないことを、とても重要に扱い議論にすることが非常に多くあります。
アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーは、著書「Manufacturing Consent: The Political Economy of the Mass Media」の中で、マスメディアによる「プロパガンダモデル」を痛烈に批判し、メディアと権力の癒着や大衆支配の実態を記しています。
その大衆操作の1つに大衆の気をそらせる戦略があります。
これは重要なものから目をそらせるために、平凡な事を重要視させる手法です。
そしてもし平凡なことが重要になったと語られはじめたら、この大衆操作は成功していると記されています。
そのノーム・チョムスキー氏が示す大衆操作と、スウェーデンの政府やメディアの報道を比較すると、スウェーデンはまさにノーム・チョムスキー氏が語る大衆操作方法とよく当てはまるのです。
そして今回の政府によるギャンブル規制の発令も1つの大衆操作であるようにもみえるのです。
これは政府がギャンブル中毒者の増加の危惧を強調することで、高齢者対策の失敗で多くの高齢者が死亡者する事実から国民の目をそらします。
そしてあたかもスウェーデン政府が人道主義政策を実施しているように国民にイメージを植えつける大衆操作がされていると考えられるのです。
またもやリストラ!1,000人のリストラ発表したスウェーデンの自動車会社ボルボ・カーズ
- 本日のスウェーデン感染者状況
- またもやリストラ!1,000人のリストラ発表したスウェーデンの自動車会社ボルボ・カーズ
- スウェーデン企業と日本企業との比較
- 真っ先に従業員のリストラを行うコスト重視スウェーデン企業
- 社会民主主義というご都合主義
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は19,621人、死亡者2,355人、100万人あたりで感染者は1,943人、死亡者は233人にもなっています。
日本の感染者数が13,614人、死亡者385人、100万人あたりで感染者は108人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は77倍以上も日本より高いことになります。
またもやリストラ!1,000人のリストラ発表したスウェーデンの自動車会社ボルボ・カーズ
スウェーデンにある自動車会社ボルボ・カーズはコロナの影響で一時生産を停止していましたが、現在再度製造を開始しだしていました。
しかし4月27日の新聞エクスプレッセンによると、スウェーデンにある自動車会社ボルボ・カーズは、夏までに1,000人の従業員の解雇を発表しました。
そしてスウェーデンのシェーブデ市とトルスランダ市にあるボルボ・カーズの工場で、 9月までにリストラが実施されるだろうと報道されています。
ボルボ・カーズの報道官ステファン・エルフストロムによると、
「もし車の販売数が減るならば、製造ラインに問題が生じてくるのは明らかだ」と、販売できなければ従業員を解雇するのは当然かのように語っています。
このボルボカーズのリストラだけではなく、新聞SvDによれば3月23日に自動車会社ボルボが全ての契約社員5,000人の解雇を発表したばかりでした。
また3月15日の新聞DNによれば、航空会社SASは、従業員の90%にあたる1万人の解雇を発表しました。
4月14日の公共テレビSVTによると、1週間だけでスウェーデン国内の6,600人が企業から解雇通知を受けたと報道され、3月1日から4月14日までの約1ヶ月半だけ56,000人もの解雇通知を受け、82,000人が職を失ったと報道されているのです。
実に多くのスウェーデン企業がコロナ危機で、即座に従業員の解雇を行っていることがわかります。
スウェーデン企業と日本企業との比較
日本企業も今回のコロナ危機により大ダメージを受けています。
しかしトヨタ自動車は、国内で大規模な生産ラインの休止に踏み切りましたが、今も解雇はしていません。ホンダ、三菱自動車もリストラはされていません。
フランスの自動車会社ルノーと資本提携をしている日産自動車以外の日本の主要自動車企業では、工場を停止し一時帰休はするものの、従業員の雇用は守っているのです。
また日本の航空会社のJALやANAも同様に、運休や一時帰休をはじめるなどはするものの、リストラは行っていません。
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4月22日の日経ビジネスでのインタビューでトヨタ自動車の豊田章男社長が「師」と仰ぐ人物、伊那食品工業の最高顧問である塚越寛氏は、
「従業員を解雇することはこれまでなかったし、これからもありません。どんなに苦しくとも、経営者の責任として一度採用した以上はその人の幸せを考え、雇用し続けるのが当然です。」
「企業は何のために存在しているのか。この点について勘違いしている人が多いですね。企業の目的は経営者の虚栄心を満たすことではなく、いい会社にして皆で幸せになることこそが目的です。だからこそ、経営者は人間としてどう生きるのが正しいのか、それにともなって会社はどうあるべきかを考えなければなりません。」と語っています。
反面ボルボ・カーズの報道官ステファン・エルフストロム氏は、
「もし車の販売数が減るならば、製造ラインに問題が生じてくるのは明らかだ」とリストラを当然のように進めています。
この2人の発言と比較しても、日本とスウェーデンの従業員を守ることへの理念に大きな違いがみえるのではないでしょうか?
真っ先に従業員のリストラを行うコスト重視スウェーデン企業
しかしスウェーデンでは今回のコロナ危機だけではなく、常日頃から少しでも企業は経営難となれば、リストラを避けて経営を見なおすわけではなく、真っ先に実行されるのは従業員のリストラなのです。
そして現在のコロナ危機でも、いつものように従業員の雇用を守ることはなく、真っ先に従業員のリストラが実行されています。
それでは現在のコロナ危機の間に、国民にはスウェーデン政府から手厚い保護があるのかというと、スウェーデンではいまだに国民を守るためのコロナ拡散防止規制もなく、日本やアメリカのような国民への支給金もありません。
しかし反面スウェーデンにコロナ危機が直面し、政府がは3月4日に真っ先に実行した政策は、国民を守る政策ではなく、企業救済の法律制定だったのです。
今回のコロナ危機を通しても、スウェーデン政府が国民救済よりも、企業救済を第一にしていることがよくわかるのです。
また企業も自己救済にためであれば、従業員が路頭に迷おうが、容赦なく従業員の解雇をためらいません。
こうした話を聞き、欧米の雇用形態と日本の終身雇用とでは雇用形態が違うから、スウェーデン人も納得していると考える方もいるかもしれません。
しかし2015年の公共ラジオSRで、スウェーデン技術者労働組合のトーマス・ビルドバーグ氏は「こうしたリストラは会社の危機ではなくただの長期的戦略である。会社は資金を新しいベンチャー事業に投入したいだけなのだ。そのため労働組合は会社と交渉をしている。我々は約2年ごとに大きなリストラの通知を受ける。しかしリストラではなく他の手段もあるはずだ。今後も労働組合は会社と交渉を続けていく。そして会社は度重なり何度も大きなリストラをしないことが重要であり、社員のスキルを向上させることに焦点を当てるべきだ」と語っています。
私もスウェーデンで働いているため、その通りだと感じます。
実際にこうした頻発するリストラが起きると従業員の士気は大きく低下するのです。中には病気になったり、会社に来なくなる人さえでてきます。
それというのもスウェーデン人や日本人にかかわりなく、みんな心がある人間であり、解雇通知を受けショックを受けない人などいないのです。
社会民主主義というご都合主義
多くの日本人はスウェーデンが社会民主主義と呼ばれ、社会主義的な民主・資本主義であるとされ、社会主義と民主・資本主義のバランスがとれていると考えているのではないでしょうか?
しかし実際のスウェーデンは、社会主義が都合よければ社会主義を唱え、資本主義が都合よければ資本主義を唱える、ご都合主義の国なのです。
そのため大量のリストラを行うときは資本主義を語り、高額な課税をするときは社会主義的に平等だとそのときの都合で主義を使い分けています。
実際に国民が社会主義の基盤である治安や教育、高齢者介護などの公共サービスに不満を募らせている中、2019年に政府は70万クローナ(約840万円)を超える、富裕者層へ課さられていた5%の税金を廃止する、とても資本主義的な政策決定をしました。
スウェーデンは平等・人道主義を唱えており、公平で国民を守る人道的なイメージが強いかもしれません。
しかし実際のスウェーデンでは、現在のコロナ危機下でも政府は企業保護に力を入れますが国民の生命・健康保護の対策はいまだなく、企業も経営難となれば社員を守らず真っ先にリストラの実行をしているのです。
このように社会民主主義とよばれ、社会主義的で平等のイメージの強いスウェーデンですが、スウェーデンの政府や企業は何よりもコストを重視する、実はとても資本主義的な国なのです。
スウェーデンのプリンセスによるストックホルムの病院でのボランティア活動
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は18,926人、死亡者2,274人、100万人あたりで感染者は1,874人、死亡者は225人にもなっています。
日本の感染者数が13,441人、死亡者372人、100万人あたりで感染者は106人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は75倍以上も日本より高いことになります。
世界平均をはるかに上回るストックホルムのコロナ感染者数
4月21日の公共テレビSVTによれば、スウェーデンの首都ストックホルムではコロナ感染者数が世界平均をはるかに上回っていると報道されました。
そしてWHOも世界人口の数パーセントが感染する中、ストックホルムの3分の1もの人が感染していると報道しています。
非常に高いストックホルムでのコロナ感染状況がわかります。
スウェーデンのプリンセスによるストックホルムの病院でのボランティア活動
4月16日の新聞エクスプレッセンによると、スウェーデンのソフィア王女が3日間の看護教育コースを修了し、ストックホルムにあるソフィアヘメット病院でアシスタントとして、ボランティア活動をはじめたと報じられています。
この研修を終了したことでソフィア王女は、コロナ危機下で負荷が高くなった病院のボランティア活動ができるようになりました。
そしてソフィア王女は、インストグラムで
「この困難な時期にお手伝いできることは非常にやりがいがあります。ありがとう!」と書き込みをされています。
この記事によればソフィア王女は病院での新しい仕事を楽しみにしている様子だと記されています。
ただ現在のストックホルムは非常に高いコロナ感染者を出しています。
さらに病院では院内感染も広がっている状況です。
ヨーロッパの王族の中からも、イギリスではチャールズ皇太子、モナコではアルベール大公などがコロナに感染したニュースも報じられています。
日本でも皇室の方々がこれまで出席してこられたイベントや行事自体が中止になり、皆様お出ましのない状態が続いています。
そうした状況の中ソフィア王女が感染する可能性はないのか不安を感じさえするのです。
そのため王女がコロナ感染をしないように、病院内では王女には手厚いサポートがつくと考えられます。そして警護にもSPなどが配置されるはずです。
そのため看護師ではないソフィア王女がボランティア活動をされることは、大変すばらしいですが、現在多くの死者がでているストックホルムの病院においては、足りない人員がさらに割かれてしまうのではないか危惧さえあります。
王族とビジネス関連の会議
日本の天皇は、憲法で象徴とされているため、憲法の定める国事に関する行ためのみを行い、国政に関する権能を有しない と記されています。
そのため天皇の行動は厳格に規制され、政治・経済に携わることはできません。スウェーデンの王族も象徴とされていますが、少し日本の天皇とは様子が違います。
たとえばスウェーデン国王は、ノーベル賞文学賞を選出するスウェーデン・アカデミーの憲章改正できる権利を所持しています。
2017年にノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーで、性的スキャンダルが発覚し、翌年のノーベル文学賞が見送られました。
最終候補に村上春樹氏が選考されていたので、この年のノーベル文学賞がなかった事を記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。
これはカール16世グスタフ国王がアカデミー憲章の改正を実施したためです。そのためスウェーデン国王は象徴以上の権限をもってもいるのです。
またスウェーデン王族が日本の天皇と違うことは、ビジネスや経済にも携われることです。
スウェーデン王室公式ホームページによると、2010年に国王とシルビア王妃はブラジルを訪問しました。その際に、ブラジルとスウェーデン間の産業技術協力セミナーへの参加をし、現地企業への訪問をされています。
またビクトリア皇太子妃も、2018年にスウェーデンのビジネス政策研究センター(SNS)で開かれた、都市化と経済における都市の重要性テーマにした、タイロサンド会議に参加されています。
これだけではなくスウェーデン王家はこれまでに多くのビジネス関連の会議に参加されており、スウェーデンのビジネスに貢献されています。
こうした過去のスウェーデン王族の活動から考えると、ソフィア王女のストックホルムの病院でのボランティア活動は、慈善活動以外にも意義をもたれているように感じるのではないでしょうか?
高齢者保護へのコロナ戦略が間違っていたことを認めたスウェーデン社会大臣とその矛盾
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は18,640人、死亡者2,194人、100万人あたりで感染者は1,846人、死亡者は217人にもなっています。
日本の感染者数が13,231人、死亡者360人、100万人あたりで感染者は105人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は72倍以上も日本より高いことになります。
高齢者保護へのコロナ戦略が間違っていたことを認めたスウェーデンの社会大臣
4月25日の新聞アフトンブロデットによれば、与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、戦略の一部が間違っていることを認めたと報道されました。
そして高齢者介護における感染拡大は
「間違いなく大きな失敗だ」と述べ、
老人ホームでのコロナ拡大を食い止めることが最も重要なことであると語りました。
まったくそのとおりです。
しかしこのレナ・ハレングレン社会相の発言には、政治的な思惑もあると新聞アフトンブロデットでは記されています。
この記事によれば、与党・社会民主党党首であるローベン首相が退陣した場合、次の党首として名前が上がっているのは、レナ・ハレングレン社会大臣とのことです。
そのためコロナ対策の否を認めることで、世論からの注目を集める政治戦略とも示唆されています。
社会大臣の発言の大きな矛盾
さらにこのレナ・ハレングレン社会大臣の発言にはいくつも矛盾点があります。
矛盾点1:マスク使用規則ないために広がった老人ホームでのコロナ拡大
レナ・ハレングレン社会大臣はどのようにして老人ホームでコロナ感染が広がったのか、まだはっきりとわからないと述べています。
しかし老人ホームでのコロナ感染の拡大は、4月8日の公共テレビSVTによると、老人ホームで介護士がマスクを使用していないため、老人ホームでコロナ感染が拡大していると報道されています。
このように老人ホームにおけるマスクなど使用の規制が特になかったため、多くの介護者や訪問者が老人ホームでマスクを使用せず、高齢者へ感染が拡大したのは明白なのです。
そしてこの老人ホームでのコロナ感染拡大を起こしたのは、これまで具体的な対策をしてこなかったスウェーデン当局の責任のはずであるのです。
矛盾点2:老人は集中治療室に搬送しないガイドラインの存在
またレナ・ハレングレン社会大臣はいまだに北欧の隣国と比較しても、スウェーデンがなぜ多くの死者をでていて、なぜ高齢者の死者数が高いかわからないと答えています。
しかし4月23日のSVTによれば、高齢者や1つ以上の疾病のある人は、いくら重篤患者であっても集中治療室に搬送されないガイドラインの存在が明らかになりました。
そのため集中治療室は満室にならず、つねに空きが存在していました。
社会大臣の立場であるレナ・ハレングレン氏は、明らかに集中治療室に送らないと決めたガイドラインの存在を知っていたはずです。
しかしこうした事実があるにもかかわらず、レナ・ハレングレン社会大臣は、スウェーデンの集中治療室ではいまだに空きがあると、毎日の会見で発表してきていたのです。
これが「老人へのコロナ戦略は失敗だった」と述べるだけで済まされることでしょうか?
失敗というよりも意図的に高齢者の保護しない政策を政府や公衆衛生局が進めていたのです。
矛盾点3:他の北欧諸国と比べ桁違いの死者数
さらにレナ・ハレングレン社会大臣は、スウェーデンのコロナ戦略が失敗したというにはまだ時期尚早とし、コロナ危機が終わった後わかるはずだと語っています。
4月17日、イギリスの新聞であるインデペンデントの記事によれば、スウェーデンでの死者数は他の北欧諸国と比較しても桁違いな数で、爆発的に死者数が増えていると記されています。
そうした既成事実があるにもかかわらず、スウェーデンの戦略が失敗と決めるのは時期尚早とは、どういうことなのでしょう?
いつこの判断する時期が来るのでしょうか?
またもし時期が来てコロナ戦略が失敗であった場合、これまで多くの人たちを特に何も対策をださず死亡させてきた責任は誰が取るのでしょうか?
過去の発言や行動に責任を持たないスウェーデン政治
スウェーデン当局はガイドラインをもうけ、老人や1つ以上の疾病のある患者は、集中治療室に空きがあるにもかかわらず、意図的に集中治療室に搬送していません。
これは「差別」を通り過ぎて国による意図的な「見殺し」とも考えられるのではないでしょうか?
しかしスウェーデンでは政府や政治家が過去の発言や行動に責任を持たない国です。
過去にもいくつも大きな問題がおきても、誰も責任や逮捕もされず、事件自体がいつのまにか消えていくことは多く起きています。
なので将来的にスウェーデンのコロナ戦略が失敗だとわかっても、スウェーデンでは誰も政府や政治家の責任は追求しないと考えられます。そして政治家は間違った発言や行動への責任をとらされることもなく、何事もなかったように責任問題はいつの間にか消えていくのです。。。
これが日本を含んだ世界の多くの国が憧れる、平等や人道主義をうたい高福祉国家と呼ばれるスウェーデンの実態なのです。