海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

スウェーデンは高齢者保護よりギャンブル中毒者を危惧?コロナ状況下のギャンブル規制

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は20,302人、死亡者2,462人、100万人あたりで感染者は2,010人、死亡者は244人にもなっています。

 

日本の感染者数が13,736人、死亡者394人、100万人あたりで感染者は109人、死亡者は3人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は81倍以上も日本より高いことになります。 

 

高齢者保護よりコロナ状況でのギャンブル中毒者を危惧?ギャンブル規制の開始

4月23日の公共テレビSVTによると、コロナ危機下でギャンブル中毒者が増加しているため、スウェーデン政府はギャンブル中毒者を減らすためにいくつかの規制をすると報道されました。

 

そのためカジノへの預け入れ金の制限を、週に5,000クローナ(約5万3千円)に減らし、カジノ会社の与えるボーナスは100クローナ(約1,080円)に制限し、カジノでのプレイ時間に制限をかけるとのことです。

 

このギャンブルへの規制は6月1日に発効され、年末まで適用されることが発表されました。

 

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www.svt.se 

社会保障大臣のアードラン・シェッカラビ氏によれば、

 

「今のコロナ危機の中、私たちが目にしている状況は、まるで危険なカクテルのようなギャンブル中毒のリスク増加である」、

 

私たち政府はか弱い消費者を保護し、ギャンブル中毒の危険にさらされている人々をこのコロナ状況で確実に守りたい」と語っています。

 

確かにそうなのかもしれません。

しかし現在のスウェーデンでは、非常に多くの高齢者が死亡しています。

 

4月25日の新聞アフトンブロデットで、与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者保護のコロナ戦略が間違っていることを認めたほど、スウェーデンでは高齢者でのコロナ感染が広がっているのです。

 

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4月25日 新聞アフトンブロデット レナ・ハレングレン社会大臣

www.aftonbladet.se

一般的に考えればそうしたコロナ危機の状況下で、一番救わなくてはならないのは、ギャンブル中毒者の増加防止より、いかに多くの高齢者を死亡から救うことなのではないでしょうか?

 

ギャンブル中毒者の保護を強く唱え、いかにも人道主義政策を実施している事を強調するスウェーデン政府ですが

 

4月23日のSVTのニュースでは、 

「毎日の記者会見では、政府は集中治療室にまだ空きがあると強調している。しかし集中治療室利用の優先順位があり、多くの患者が集中治療室への搬送を拒否されている」と報道されています。

 

そして慢性閉塞性肺疾患BMIが40以上の人中毒患者ペースメーカー利用者など、1つまたは複数の深刻な全身性疾患のある患者には、集中治療室での治療を施すべきではないというガイドラインがストックホルムの病院で存在していたことが判明したのです。

 

これが政府の考える人道的な高齢者の保護政策なのでしょうか?

 

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www.svt.se 

しかし日本のメディアではこうしたスウェーデンのネガティブなニュースは、恐らく報道されないはずです

 

今回のスウェーデンのギャンブルの規制にしても日本のメディアでは、日本のパチンコ屋はいまだ営業がされコロナ感染を拡大させているが、スウェーデンはコロナ危機下でもギャンブル規制をし中毒者の保護する人道的な国として報道されるのではないでしょうか


今後日本のメディアでこのギャンブル規制がどように報道されるか注視してみていてください。

きっとスウェーデンは人道的な国であるイメージの報道がされるはずです

  

平凡な事を重要視し、重要な事から目をそらせる大衆操作

ただ一般的な日本の常識から考えると、多くの方はギャンブル中毒者の保護より、高齢者保護が最優先されるべきだと考える人が多いのではないでしょうか?


実はスウェーデンではよく物事の優先順位が日本人の常識と違うことが多いのです。


たとえばスウェーデンでは仕事の効率を上げるためには、室内の換気が重要だとか、仕事中でもテレビゲームできるような快適な環境のほうが仕事効率があがるとし議論がされることがあります

 

こうしたスウェーデンの働き方は日本のメディアでも、仕事効率のよい国スウェーデンとして取り上げられているはずです。


しかし反面、スウェーデンでは仕事の役割や責任の明確化などは明確にしないことが多く、誰が何の役割や責任をもっているのか不明で、仕事が進まないことが非常に多いのです


このようにスウェーデンでは重要でないことを、とても重要に扱い議論にすることが非常に多くあります

 

アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーは、著書「Manufacturing Consent: The Political Economy of the Mass Media」の中で、マスメディアによる「プロパガンダモデル」を痛烈に批判し、メディアと権力の癒着や大衆支配の実態を記しています。 

 

globaljourney.hatenablog.com

 

その大衆操作の1つに大衆の気をそらせる戦略があります。

これは重要なものから目をそらせるために、平凡な事を重要視させる手法です。

 

そしてもし平凡なことが重要になったと語られはじめたら、この大衆操作は成功していると記されています

 

そのノーム・チョムスキー氏が示す大衆操作と、スウェーデンの政府やメディアの報道を比較すると、スウェーデンはまさにノーム・チョムスキー氏が語る大衆操作方法とよく当てはまるのです。 

 

www.youtube.com 

 

 

そして今回の政府によるギャンブル規制の発令も1つの大衆操作であるようにもみえるのです。

 

これは政府がギャンブル中毒者の増加の危惧を強調することで、高齢者対策の失敗で多くの高齢者が死亡者する事実から国民の目をそらします。

 

そしてあたかもスウェーデン政府が人道主義政策を実施しているように国民にイメージを植えつける大衆操作がされていると考えられるのです