海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

スウェーデン社会保障危機管理局局長も政府のコロナ初期対応の遅さを指摘

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は26,322人、死亡者3,225人、100万人あたりで感染者は2,606人、死亡者は319人にもなっています。

 

日本の感染者数が15,777人、死亡者624人、100万人あたりで感染者は125人、死亡者は5人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は63倍以上も日本より高いことになります。

 

北欧諸国と比較しても死者数の多さ

スウェーデンは世界でも唯一といわれるほど、いまだに具体的なコロナ規制を行っていない国です。

 

しかしスウェーデンの死亡者数は他の北欧諸国と比較しても、桁違いに多い死者数を出しています。

 

5月10日のアワー・ワールド・イン・データによる 北欧4カ国でのコロナ死者数を比較するとつぎの表で示されます。

 

スウェーデン1カ国だけ、コロナによる死者数が桁違いに多いことがわかります。

 

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5月10日 OurWorldInData 北欧諸国死者数比較

ourworldindata.org

首相・社会大臣も高齢者コロナ対策の失敗を認める

こうしたスウェーデンにおける高齢者の死者数の増大に、4月25日に与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者介護における感染拡大は「間違いなく大きな失敗だ」と発言し高齢者コロナ対策の失敗を認めました。

 

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4月25日 新聞アフトンブロデット レナ・ハレングレン社会大臣

www.aftonbladet.se

また5月7日の公共テレビSVTによれば、スウェーデンのローベン首相もスウェーデンにおける高齢者のコロナ対策が、失敗であったことを認めたと報道されたのです

 

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www.svt.se

スウェーデン社会保障危機管理局局長も政府のコロナ初期対応の遅さを指摘

さらに5月11日の新聞SvDによれば、スウェーデン社会保障危機管理局(MSB)ダン・エリアソン局長も、政府はもっと「迅速にコロナ対応ができたはずだ」と発言しています。

 

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5月11日SvD スウェーデン社会保障危機管理局 ダン・エリアソン局長

www.svd.se

スウェーデン社会保障危機管理局(MSB)とは何かというと、防衛省の下に組織されたスウェーデンの行政機関で、市民保護や公共の安全、緊急管理、および市民防衛に関する問題に責任を負う機関です。今回のコロナ危機でもその対策を担っています。


新聞SvDの記事でスウェーデン社会保障危機管理局のダン・エリアソン局長は、政府がもっと迅速に対応できていれば、これほどまで死者数が増えていなかったと発言しています。

 

スウェーデン社会保障危機管理局の責任

しかし3月15日の新聞アフトンブロデットによれば、政府は国境閉鎖の代わりに、政府発信のコロナ情報発信をするのため7,500万クローナ(約8億2千万円)を、MSBに投じたと報じられています。

 

それではMSBはこの7,500万クローナ(約8億2千万円)もの資金を何の対策のために使用していたのでしょうか?

 

www.aftonbladet.se

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www.svt.se 

4月8日の公共テレビSVTによると、公衆衛生局MSBと協力して、携帯通信企業テリアの携帯から個人情報を収集して、コロナ感染情報を関連のアプリを開発しているとのことです。

 

しかしこうした個人の携帯情報を取得してまで作ったMSBのコロナアプリですが、実際にはいまだスウェーデンの死者数は増加傾向が続いており、このアプリがコロナ拡大防止の役立っているとは言い難い現実があります。

 

www.svt.se 

MSBは政府の初期対応が遅いと政府を指摘していますが、7,500万クローナ(約8億2千万円)もの資金を投入し作ったMSBのアプリも、拡大防止の役にはたっておらず、コロナ対策を練るべきMSBの不十分なコロナ対策の実態もみえてくるのです。

 

当局同士の責任のなすりつけ合い

こうしたスウェーデン首相社会大臣社会保障危機管理局長が次々とスウェーデンのコロナ戦略の間違いを認めつつありますが、反面スウェーデンの当局は、自分たちがコロナ対策の責任をかぶらないようにお互いに、責任のなすりつけ合いをしているようにもみえるのです。

 

その最たるものとして、ローベン首相が3月22日にテレビ演説の際に述べた「コロナ拡大防止は国民一人ひとりの責任である」という発言です。

 

他の機関に責任を押し付けるどころか、国民にコロナ拡大防止の最終責任を負わせる発言もしているのです。