海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

スウェーデン政府が高齢者施設への追加資金を発表

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は26,670人、死亡者3,256人、100万人あたりで感染者は2,641人、死亡者は322人にもなっています。

 

日本の感染者数が15,847人、死亡者633人、100万人あたりで感染者は125人、死亡者は5人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は64倍以上も日本より高いことになります。

 

スウェーデン政府が高齢者施設への追加資金を発表

政府は高齢者介護や医療を強化するために22億ククローナ(約241億円)を今年度と来年度に当てると発表していました。

 

しかし5月12日の公共テレビSVTによれば、政府は今年度と来年度で合計47億クローナ(約516億円)に増額し、高齢者介護や医療を強化当てると発表しました。

そして今年度は27億クローナ(約296億円)を、残りを2021年度の資金として当てられるとのことです。

 

さらにその資金のうち22億クローナ(約241億円)は高齢者介護や医療を強化に使われる予定であり、その資金で高齢者介護スタッフや介護助手、または看護師としてトレーニングに費やす予定だとのことです。

中央党の政治経済担当スポークスマンのエミールケルストロムも、スウェーデンの高齢者介護を強化する必要があり、そうした高齢者介護をビジネスとする企業に支援する必要があると語っており、スウェーデンが高齢者コロナ対策に力を入れ始めてきたことがわかります。

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5月12日 SVT 政治経済担当スポークスマン エミールケルストロム

www.svt.se

長年にわたる政府による高齢者介護施設問題の無視とコスト削減

5月10日の新聞DIによれば、スウェーデンでは3,100人以上がコロナ感染で死亡しています。そして死亡者のほぼ半数が高齢者施設で発生しており、多くの人々に不安や心配を生んでいると報じています。

 

そしてここまでスウェーデンで多くの高齢者の死亡者を生んだ理として、ストックホルム大学の高齢者政策専攻のマルタ・セベヒーリー名誉教授は

 

「長年にわたる政府による高齢者介護施設問題の無視とコスト削減」と語っています。

 

実際にスウェーデンでは2000年以降、高齢者介護施設数が30%減少しています。

マルタ・セベヒーリー名誉教授によると、こうした高齢者施設の減少が、高齢者施設の環境をよくないものにしていうると語っています

 

そしてマルタ・セベヒーリー名誉教授は、

「多くの高齢者が病弱です。そのためコロナ危機下での高齢者介護施設では、高齢者の20%が6か月以内に死亡してしまうだろうと語っているのです。


実際に国民保健福祉委員会によると、特別住宅に住む高齢者79,000人のうち、979人(1%強)がコロナ感染ですでに死亡しているとのことです。

 

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www.di.se

スウェーデン政府は22億クローナを高齢者コロナ対策にあて、高齢者の死亡を減らそうとしています。

しかしいつも資金は投入するものの、具体的な対策は講じられておらず、これまで多くの高齢者の死亡者を出してきているスウェーデンです。

 

今回の資金増加でも、政府が財布の紐をにぎるだけの財務省のような役割を果たすだけではなく、さらに具体的な政策を打ち出すことで、実際に高齢者の死亡者数が増えないようにしてもらいたいものです