海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

4月13日 スウェーデンでのメディア・コントロール

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は10,483人、死亡者899人、100万人あたりでは1,038人にもなっています。

 

日本の感染者数が7,370人、死亡者123人、100万人あたりでは58人ですので、スウェーデンは人口あたり17倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。

 

スウェーデンでのメディア・コントロール

4月4日の私のブログでは「世界に批判されコロナ対策なしでも、与党の支持率が上がる仕組みとメディアコントロール 」を記しました。

 

その与党の支持率が上がる仕組みの4つ目の理由として、多くのスウェーデン人がすでにメディアによる深いマインドコントロール下にあることを記しました。このことについてもう少し深く掘り下げて記します。

 

globaljourney.hatenablog.com

与党の社民党員により構成されている公共テレビSVTの大衆操作

スウェーデンは2019年の世界報道自由度ランキングで世界3位にランクインしています。そのためまさかスウェーデンでメディアコントロールがされているはずはないと考える方は多いかもしれません。

 

しかし日刊新聞SvD によるとSVTの理事会には3、4人の社民党員がいて、SVTを所有するスウェーデン・ラジオ経営基金の理事も5人の社民党員がいるとのことです。そのためSVTは与党の社民党に政治的に偏っているとSvDは指摘しています。そのためSVTの報道では政府を非難するニュースが流れにくいのです。

 

www.svd.se

 

アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンター の調査によると、スウェーデンでは64%の人がメディアを信頼しており、その情報源に最多数である39%の人が公共テレビSVTや公共ラジオをあげています。またSVTを信頼すると答えた人は75%にもおよびます。

 

そのため多くのスウェーデン人が信頼をしている公共テレビSVTの報道で政府擁護の報道をすれば、簡単にメディアにより大衆操作が可能となるのです。

 

実際に国境なき記者団 もSVTと公共ラジオSRは政府のプロパガンダ機関になるかもしれないと警告をしているほどなのです。

 

 

f:id:globaljourney:20200416182812p:plain

 

nyheteridag.se

絶妙なメディアコントロールのバランス

もし日本において公共テレビNHKでされていれば、他のメディアが非難を行い、少なくとも多くの日本人がNHKは公正に報道していないと批判があがるはずです。実際にNHKをぶっ壊すとしてN国までできています。

そのためもしスウェーデンでもメディアコントロールがされているならば、スウェーデンの他のメディアや民衆が気づくだろうと考えがちです。

 

そして実際にスウェーデン人自身もスウェーデンのメディアにより、自分たちが大衆操作を受けていると感じる人はあまりいないと思います。

 

しかしスウェーデンでは絶妙なバランスでメディアコントロールをしているため、なかなか人々がメディアによる大衆操作がされていることに気づくことが難しいのです。

 

 スウェーデンのメディアによる大衆操作の上手なところは、メディアコントロールがされているとよく報じられる中国や北朝鮮、ロシア、イランなどの国と大きく違い、スウェーデンでは政府擁護の記事だけではなく政府批判の記事も絶妙なバランスで混ぜています。

 

そのため国民も一見メディアが偏向報道をしているように感じられず、無意識のうちに政府側の考え方となりやすいのです。 

 

アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーの示す「プロパガンダモデル」と同じスウェーデンでの大衆操作

アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーは、著書「Manufacturing Consent: The Political Economy of the Mass Media」の中でマスメディアによる「プロパガンダモデル」を痛烈に批判し、メディアと権力の癒着や大衆支配の実態を明らかにしました。

 

そのノーム・チョムスキーが語るメディアによる大衆操作とスウェーデンのメディアを比較すると、スウェーデンのメディアによる大衆操作は、まさにノーム・チョムスキーがいうメディアによる大衆操作とよく当てはまるのです。

 

 

 

その大衆操作の1つに大衆の気をそらせる戦略というものがあり、重要なものから目をそらせるために、平凡な事を重要視させます。そしてもし平凡なことが重要になったと語られはじめたら、この大衆操作は成功していると記されています。

 

 

www.youtube.com 

gigazine.net  

1つの例ですが、スウェーデンではインテリアや外見に非常にこだわることが多い国です。一般的なスウェーデン企業では、植木や空調がよくないと仕事がはかどらないから効率的でないとよく話になりなります。

 

日本企業において、植木や空調が仕事効率と直接は関係がないので話になることはまずないはずです。

 

しかしスウェーデンでは真剣にこうした小さいことをよく議論します。

反面、実際の仕事の責任や役割、納期など本当に重要なことは議論にならなず、目をそらすことが多いのです。そのため実際の仕事が進まないことは非常に多くおきます。

 

現在のコロナ危機をみても、スウェーデン政府はスウェーデンが個人の自主性を尊重する国だと言って一切規制をしていません。


しかし一般的に考えれば、今の国家の危機的状況で自主性の尊重など話している場合ではなく、政府が国民をいかに守るかが最優先のはずです。

しかし政府が経済重視主義であり、かつコロナ感染拡大の責任を自分たちが負わないように、メディアを使い個人の尊重する国だという建前を報道することで、本当に重要なことから国民の目をそらしています。さらにコロナ拡大防止の責任さえも国民に押し付けているのです。


このようにスウェーデンでは重要でないものを重要とし、重要なものから目をそらさせることが非常に多いのです。

 

スウェーデンはアメリカの哲学者ノーム・チョムスキーが語る「プロパガンダモデル」によく当てはまる国なのです。

 

他者への依存性が強いスウェーデンの国民性

また少しスウェーデン人の国民性をご紹介します。欧米人というとアメリカ人やドイツ人のように自分の意見や主張が強いとイメージするかもしれません。
しかしスウェーデン人の国民性として、自分の意見をあまりいいません。また他の人に同調する傾向も強いのです。

 

心理学では母親の表情を優先して、自分の動きを決める「母親参照機能(マターナル・リファレシング)」と呼ばれるものがあります。

この心理は高層ビルと高層ビルの間にガラス板を敷き、向かいのビルで子どもの母親が笑顔で、「おいで、大丈夫だから」と呼びかけると、子どもは恐怖を無視して母親の呼ぶ方に向いガラス板の上を歩きはじめるというものです。

これは子どもが自分の判断よりも、母親の表情を判断の基準にしているためなのです。

 

スウェーデン国民もこの心理と同様に、母親のような存在の政府が、コロナ対策をしなくても大丈夫だからといえば、一緒についていってしまう国民性があります。


これがスウェーデン政府によるメディアによる大衆操作のしくみであり、中国や北朝鮮、ロシア、イランなどでのメディアコントロールとは違い、国民に気づかれずアメとムチのバランスをうまく調整して、国民を誘導するスウェーデン流のプロパガンダ戦略なのです。

 

しかし私がなぜこうしたスウェーデンには多くのメディアによる大衆操作だと認識しているからというと、私が外国人だからです。またスウェーデン以外でも多くの国で働いてきた経験があるため、他国とスウェーデンを比較することもでき、スウェーデンの問題点や矛盾を見抜けています。

 

また私以外の多くのスウェーデンに住み働いている外国人も、スウェーデンは2つの顔をもつ国でクリーンなメージを作り上げているとよく話ています。

 

このように一見、世界でもクリーンなイメージのスウェーデンですが、その裏には巧みに仕組まれたメディアによる大衆操作があるのです。

 

このブログを読まれた方のなかには、それでもスウェーデンがそんな国であるはずはないという方もいるかもしれません。

しかしもしスウェーデンを訪れたことなく、スウェーデンはクリーンな国だとイメージしているようであれば、もしかするとすでにメディアによる大衆操作の影響を受けているのかもしれません。