海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

スウェーデンがコロナ対策の方針変更検討中という日本メディアの誤認

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は10,948人、死亡者919人、100万人あたりでは1,084人にもなっています。

 

日本の感染者数が7,645人、死亡者143人、100万人あたりでは60人ですので、スウェーデンは人口あたり18倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。

 

スウェーデンがコロナ対策の方針変更検討中という日本メディアの誤認

4月13日のFNNなど日本のニュースでは、スウェーデン政府が感染者急増にともない都市封鎖を検討し、コロナ感染対策方針の変更を検討していると報道されています。
 

www.fnn.jp

しかしそうしたスウェーデンが都市封鎖や感染対策方針を変更するといった記事は、この数日間にスウェーデンのメディアでされていません。


恐らく4月7日にスウェーデンの政府が、コロナウイルスの蔓延を防止するために政府が迅速な決定を下せる法律が可決し際に、ローベン首相が議会の承認を得ることなく、政府が学校やショッピングモール、レストランなどの閉鎖が可能となり、都市閉鎖のようなこともできるかもしれないという発言を受けて、日本のメディアが記事にしたのだと考えられます。


しかしローベン首相が述べたのはあくまで法律上で可能性であります。

 

そのためスウェーデンが対策方針を変更し、都市封鎖を行うかどうかはわかりません。ましてスウェーデンは発言に対して責任を持たない国です。

そのため前言と矛盾した発言でも何もなかったように発言をすることは日常茶飯事です。

 

実際に3月15日国境を閉鎖しないと政府が決定し、2日後の17日に突然国境を閉鎖すると180度決定を変えました。

 

そのため4月17日に都市封鎖の可能性があると述べたことが、コロナ対策方針を変えることにはつながらないのです。

 

世界から批判されるスウェーデンのコロナ対策

スウェーデンではいまだに具体的なコロナ拡大防止の規制はされていません。

そのためいまだに人々は普段通りに外出をしています。

 

特に先週末はイースター(キリスト教復活祭)で4連休であったため、いつも以上に人は外出しており、レストランやバーも人で賑わっていました。

 

こうした状況が日本の18倍もコロナ感染が広がっている国なのかというほど、スウェーデンでは皆のんびりと過ごしています。


こうしたスウェーデンの何も規制を出さないという方針は、世界中から非難を浴びています。

 

3月29日の英国放送協会BBCのニュースでは、「ロックダウン、何をロックダウンするのですか?」というタイトルでスウェーデンの異常な戦略として報道しています。

 

www.bbc.com

またアメリカの通信社APでは、スウェーデンはウイルスの制限について逸脱していると報道しています。

 

omni.se

 

実際に私はスウェーデンに住んでいます。そうしたスウェーデン在住者の観点からもスウェーデンの無規制方針が正しいとは決して思っていません。

 

また私の周りの人たちも、スウェーデンの方針を理解できず、間違っていると口々に言っています。


実際にスウェーデンは多くの規制を行っている他の北欧諸国、フィンランドやノルウェー、デンマークと比べても感染者数が非常に多く、感染者の死亡率は隣国フィンランドと比べると8倍以上も多いのです。


こうした北欧諸国と比べても、スウェーデンのコロナ対策が成功しているとはとても言えない現実があります。

 

しかしスウェーデン政府はいまだにコロナ拡散防止規制をしないはっきりとした理由も述べずに、さらにコロナ拡大防止は国民一人ひとりの責任と述べているのです。

 

カロリンスカ研究所ステン・リナ-ソン教授によるスウェーデン政府コロナ対策への批判

こうしたスウェーデン政府のコロナ拡大防止への無規制に、アメリカの通信社APの中で、政府の政策に異議を唱えている、カロリンスカ研究所のステン・リナ-ソン教授がインタビューに答えています。

 

https://apnews.com/2472a679fe9b32e98c39cb028aa9fd83 


リナ-ソン教授は、政府が選択した道筋に対する科学的根拠が不足していると考えています。

 

そしてスウェーデンのコロナ対策が、台所で火災が起きつつも後で消火すると言いながら、家全部を焼き尽くして状況と同じだと語っているのです。

 

omni.se

まさにその通りであります。実際にスウェーデンは規制を行っている他の国々と比較しても非常に高い感染率、死亡率であります。

 

にもかかわらず閉鎖することは国民の健康によくないとスウェーデン公衆衛生局アンダーシュは述べて、スウェーデンでは閉鎖がされていません。

 

これはまさに本末転倒です。


国民の健康を維持する前に、多くに人が実際に死んでいっています。まさにリナ-ソン教授が語るような事をスウェーデンでは実際に行なわれているのです。


こうした小さな事を重要として、本当に重要な事は重要としないスウェーデンについては、スウェーデンメディアによる大衆操作とし昨日のブログでも記しました。


このように国民の健康のためという理由で規制や閉鎖を行ず、国民の生命・健康をかえりみず、実際は経済重視で企業利益保護している実態から国民を重要なことから目をそらす手法こそ、スウェーデンがよく行うスウェーデン流の政治なのです。

 

こうしたスウェーデン流の政治を知らない日本のメディアは、スウェーデンがコロナ対策方針変更を検討していると報道しているのです。