海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

現在の実際のスウェーデンの現地状況

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は65,137人、死亡者5,280人、100万人あたりで感染者は6,450人、死亡者は523人にもなっています。

 

日本の感染者数が18,390人、死亡者971人、100万人あたりで感染者は145人、死亡者は8人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は65倍以上も日本より高いことになります。

 

実際のスウェーデンの現地状況

この3週間ほどこのブログを更新していませんでした。
その理由としてここまでまで明らかに、スウェーデンではコロナ感染が拡大し、死者数が世界と比較しても非常に大きいにもかかわらず、何もかわらない状況にニュースをみるのも嫌になってきてしまいました。


4月25日与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者介護における感染拡大は「間違いなく大きな失敗だ」と述べ、スウェーデンのローベン首相も5月7日に高齢者のコロナ対策が失敗であったことを認めたと報道されています。


6月3日にはスウェーデン公衆衛生局の国家疫学者テグネル氏でさえも、スウェーデンのコロナ戦略に問題があったことを認めたと報道されています。

(ただその次の日に海外のメディア報道がテグネル氏の発言を誤認して報道したと言い訳をしていますが)


しかし現実のスウェーデンではいまだ何も変わっていません。。。


先日私は数カ月ぶりに市内にいきました。そうしたところまったくコロナ以前と同じように市内には多くの人がごった返していました。

 

距離を開けて歩いているかというと特にそうした事を気にする人たちはいませんでした。またもちろん私以外に誰もマスクをしている人は誰もいません。


さらにレストランやバーにも人は混み合っており、屋外だけでなく室内の席にもお客がいるのです。


この市内の状況をみて、誰もスウェーデン公衆衛生局のいうアドバイス」さえ守っている人はおらず、なぜこれほどまでスウェーデンではコロナ感染拡大が広がり、死者数が桁違いに多い理由を再度実感しました。

 

マスク不足のため一般の医者はマスク使用禁止

さらに知り合いの医者になぜスウェーデンの医者はマスクをつけないのかを尋ねたところ、スウェーデンの一般の医者は「現在スウェーデンではマスクが足らないため、コロナ感染者と思われる患者と合わない限り、一般の医者はマスクの使用を”禁止”されているから、一般の医師はマスクを使用していない」と教えてくれました。


しかし4月3日の公共ラジオSRによると、スウェーデンの医薬品会社モンリッケはイタリアやスペインにマスクを輸出しようとしていたものの、EU規制によりフランスでマスク輸出が止められてしまっていると報じられていました。

 

そして4月4日の医薬品会社モンリッケのホームページによると、スウェーデンの首相ローベン首相の力で、再度マスクの輸出が再開できるようになったとあるのです。

 

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sverigesradio.se
なぜスウェーデンでマスクが足らず医師でさえマスクをしていない状況なのに、海外へマスクを輸出するのでしょうか?


さらにマスク輸出を再開できるようにしたのは、スウェーデンのローベン首相なのです。

 

この事実を知り合いのスウェーデンで働く医師にしらせると、それっきり返事がなくなってしまいました。


こうしたことはスウェーデンではよくあることです。スウェーデン人の多くは何か不都合なことがあると、沈黙をしはじめ、ときがたち人が忘れるのを待つのです。

 

www.molnlycke.com

老人ホームの状況

さらに高齢者施設でも同様です。4月8日の公共テレビSVTによると、老人ホームで介護士や面会者がマスクを使用していないため、老人にコロナ感染が拡大していると報道されています。

そのため老人ホームで働く人には顔を保護する"バイザー"と呼ばれる、透明の防護シールドを取り付ける提案がされたとあります。

 

www.svt.se

しかし私の近くの老人ホームをみた限りでは、誰もマスクやバイザーのようなものや、透明板のような仕切りがあるわけでもなく、普通に老人と面会をしています。

 

さらに高齢者と特に距離をとるわけでもなく、普通に1mくらいの距離で話をしているのです。

 

ただ唯一あるのは面会が屋外であることだけで、あとは何の措置もされている様子はありませんでした。

 

スウェーデン首相や社会大臣が高齢者のコロナ対策は間違いだと認めたとありますが、認めただけで結局何も変わっていないのです。

 

夏至祭でのパーティ

さらに6月20日はスウェーデンやスカンジナビア諸国では夏至を祝う「夏至祭」が行われ、大きなイベントです。今年はコロナ危機であるため大きな公的なイベントが行われてはいません。

 

しかし実際には多くの若者が家を貸し切り、家の中で密集した中、大音量の音楽をかけ盛大なパーティして楽しんでいる状況を目にしました。

このパーティをみたとき、絶対にこのあとコロナ感染する人がいると感じました。


さらに私自身もある年配のスウェーデン人からパーティへの誘いがあったほどです。

なぜこんな時期に誘うのか非常におどろき耳を疑いました。もちろん私はパーティなどいきませんでした。おそらくスウェーデン人は屋外にいればコロナ感染しないと思っているようです。

 

スウェーデン政府や公衆衛生局はスウェーデンの国民性として、当局のいうことを聞く国民性だといい規制を行っていませんがこれのどこがスウェーデン人は当局のいうことを聞く国民性なのだという一言です。

 

さらにスウェーデン公衆衛生局は6月11日に国内旅行の制限解除を行っています。

 

さらにコロナ感染拡大が広がり、死者数が増え続けているにもかかわらず、多くの人たちはあたかも何もないように元の生活に戻っていき、さらに国も何も具体的なコロナ対策は行わずさらに規制を緩めているのです。


これが世界で人口あたり7番目に死者率の高い国の現在の状況です。

 

あきれてものがいえない状況であります。。。

いまだに高齢者を含め多くの人々が亡くなっているにもかかわらず、日本人のようにこの時期に遊び呆けるのは不謹慎とい倫理観もないためか、国中にコロナ感染拡大しようが、自分さえコロナに感染しなければ問題なく、自身が楽しむことを優先している人が多いように感じます。

 

これが本当に人道主義といわれる国なのでしょうか?


本当に人道主義であるならば首相が高齢者へのコロナ対策失敗を認めたのですから、少しでも高齢者のコロナ感染を広めないための具体的な対策を一刻も早く練り、多くの人たちが感染・死亡しないように務め、国民自身もコロナ感染を少しでも広げないようにするのが本来の人道主義の国であるのではないでしょうか?


私の目からスウェーデンでは政府も国民も、そうした人道主義の理念をもっている国にはとてもみえません。