海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

5月の世論調査で支持率が急降下したスウェーデン政府

  

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は43,887人、死亡者4,656人、100万人あたりで感染者は4,347人、死亡者は461人にもなっています。

 

日本の感染者数が17,103人、死亡者914人、100万人あたりで感染者は135人、死亡者は7人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は65倍以上も日本より高いことになります。

 

コロナ死者数増大する中なぜか、政府支持率が急上昇した4月の世論調査

6月8日の統計データサイト・ワールドメータスによると、日本の100万人あたりのコロナ感染による死者数は7人世界で104番目であり、世界平均死者数51.2人を大きく下回っています

 

日本がよく効率的としてみならう国であるドイツは100万人あたり105人の死者数であり、世界でも24番目に死者数が高い国です。

 

日本のコロナ感染による死者数の低さは、先進国の中では非常に稀であることがわかります。

 

www.worldometers.info

 

しかし6月6日の時事通信によると、時事通信が実施した5月の世論調査で、安倍内閣の支持率は38.1%、不支持率は61.3%に上がりました。

新型コロナウイルス感染症をめぐる政府の取り組みに関しては「評価しない」が60%を占め、「評価する」の37.4%を大きく上回ったと報道されています。

 

コロナ危機の影響を受け安倍政権の支持率が大きく下落したことがわかります

  

www.jiji.com

現時点においてスウェーデンは現在世界でも7番目に人口あたりの死者数が高い国です。(本日、世界8番目から7番目に死者数が多い国となりました)

5月には1週間あたりの死者数が世界一にもなったほど非常に多いコロナ死者数をだしています。

 

しかし4月の世論調査では、なぜか与党・社民党の支持率が急上昇しているのです

 

世界の先進国の中でも稀というほどコロナ死者数がでていない日本でも、政府支持率が急落している事態と比較すると目を疑う支持率の上昇です。

 

いくつかの日本のメディアでは、スウェーデン国民はこれまで非常に強い信頼をもっているからだと報じています。

 

本当にそれだけの理由でしょうか?

 

しかし4月の世論調査は非常に不可解な点もあります。

1つとしてはこの世論調査が100万人を対象として行われたというのです。

 

スウェーデンの人口は1023万人しかいません。とても短期間で世論調査できるはずがないのです。

 

もちろん私もこの世論調査に参加していませんし、周りも誰一人世論調査に参加したという人はいません。

 

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www.expressen.se

 

今回のコロナ危機でも、公衆衛生局はストックホルムの人口のうち30%がコロナ集団免疫保持者がいるとして、集団免疫戦略を肯定してきました

 

しかし実際のデータでコロナ集団免疫保持者はほんの7.3%しかなかったのです。

 

こうした統計データの誤魔化しがよく起きるスウェーデンにおいて、4月の世論調査で与党・社民党の支持率が本当に上昇したかには大きな疑問があります

 

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www.expressen.se

 

5月の世論調査で支持率が急降下したスウェーデン政府

しかし6月4日の公共テレビSVTによると、5月の世論調査で与党・社民党の支持率が急落したと報道されました

4月中旬までに、30%は政府に非常に高い信頼を持っていましたが、現在17%にまで低下したとのことです、この支持率は3月時点の社民党支持率が非常に低かった時と同じレベルになっているとのことです。

 

さらに信頼は政府だけでなく、保健サービス、公衆衛生局、外務省、およびコロナ危機に対処する他の当局の信頼性も下がったとあります。

また公共テレビSVTと公共ラジオSRの信頼度も低下しました。

特に毎日の記者会見でのスウェーデン民事緊急対策局(MSB)の役割が不明確または不明確であるためMSBへの信頼が低下し、コロナ危機以前よりもMSBに対する信頼が低くなっていると報じられています。

 

こうしたスウェーデン国民の政府、公衆衛生局、公共メディアに対する大きな信頼の低下は、隣国であるデンマーク、フィンランド、ノルウェーなどの同等の北欧諸国と比べても、スウェーデンでの死亡率が大幅に高いことです。

 

もう1つの理由としては、高齢者介護施設における高齢者死者数がどの国よりも高いにもかかわらず、政府・公衆衛生局を含めて誰もその理由を正確に返答できないためだと報じられています。

 

さらに政府は週に10万人のコロナ検査を実施すると大々的に報じていましたが結局週に3万5,000を超えることはなく、発言と実際の行動に大きな違いがあったと国民にもわかってきたからとのことです。

 

公共テレビSVTでさえも、コロナ危機が始まった当初は自主性を尊重するため、コロナ規制をしないスウェーデン当局のコロナ戦略に対する幅広い支持があったから、与党・社民党4月に非常に高い支持率であったのだろう記し、そうでなければ4月に政府支持率の高かった理由が解釈できないと報じています。

(個人的には4月の統計に何か誤魔化しがあったと思っていますが)

 

そしてこのSVTの記事ではスウェーデンの戦略世界にある多くの国々の戦略から明らかに逸脱しており、強制禁止よりも自発主義にもとづいていたが、現実的に他の世界のどの国よりも明らかに高い死亡率であるため、スウェーデンのコロナ戦略が成功したと主張するのはもう難しいと報じています。

 

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6月4日SVT 

このブログではこれまで公的ニュースや統計データを使い、スウェーデンの死者率が世界と比べても非常に高く、どう考えてもスウェーデンのコロナ戦略が間違っていると記してきました。

それでもスウェーデン人の中にはスウェーデン当局の戦略が正しいと信じたい人たちもいました。

 

しかし世界と比べても桁違いに多い死者の事実を目の当たりにし、徐々にスウェーデン人の目も覚めはじめてきたように感じます。

 

ただ過去の言動に責任をもたないスウェーデンです。いくら支持率が下がり、間違った言動をしていても、今後スウェーデンが経済重視主義を止めてまで、今のコロナ政策を本当に見なおすかには疑問はあります。

 

www.svt.se