高齢者保護へのコロナ戦略が間違っていたことを認めたスウェーデン社会大臣とその矛盾
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は18,640人、死亡者2,194人、100万人あたりで感染者は1,846人、死亡者は217人にもなっています。
日本の感染者数が13,231人、死亡者360人、100万人あたりで感染者は105人、死亡者は3人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は72倍以上も日本より高いことになります。
高齢者保護へのコロナ戦略が間違っていたことを認めたスウェーデンの社会大臣
4月25日の新聞アフトンブロデットによれば、与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、戦略の一部が間違っていることを認めたと報道されました。
そして高齢者介護における感染拡大は
「間違いなく大きな失敗だ」と述べ、
老人ホームでのコロナ拡大を食い止めることが最も重要なことであると語りました。
まったくそのとおりです。
しかしこのレナ・ハレングレン社会相の発言には、政治的な思惑もあると新聞アフトンブロデットでは記されています。
この記事によれば、与党・社会民主党党首であるローベン首相が退陣した場合、次の党首として名前が上がっているのは、レナ・ハレングレン社会大臣とのことです。
そのためコロナ対策の否を認めることで、世論からの注目を集める政治戦略とも示唆されています。
社会大臣の発言の大きな矛盾
さらにこのレナ・ハレングレン社会大臣の発言にはいくつも矛盾点があります。
矛盾点1:マスク使用規則ないために広がった老人ホームでのコロナ拡大
レナ・ハレングレン社会大臣はどのようにして老人ホームでコロナ感染が広がったのか、まだはっきりとわからないと述べています。
しかし老人ホームでのコロナ感染の拡大は、4月8日の公共テレビSVTによると、老人ホームで介護士がマスクを使用していないため、老人ホームでコロナ感染が拡大していると報道されています。
このように老人ホームにおけるマスクなど使用の規制が特になかったため、多くの介護者や訪問者が老人ホームでマスクを使用せず、高齢者へ感染が拡大したのは明白なのです。
そしてこの老人ホームでのコロナ感染拡大を起こしたのは、これまで具体的な対策をしてこなかったスウェーデン当局の責任のはずであるのです。
矛盾点2:老人は集中治療室に搬送しないガイドラインの存在
またレナ・ハレングレン社会大臣はいまだに北欧の隣国と比較しても、スウェーデンがなぜ多くの死者をでていて、なぜ高齢者の死者数が高いかわからないと答えています。
しかし4月23日のSVTによれば、高齢者や1つ以上の疾病のある人は、いくら重篤患者であっても集中治療室に搬送されないガイドラインの存在が明らかになりました。
そのため集中治療室は満室にならず、つねに空きが存在していました。
社会大臣の立場であるレナ・ハレングレン氏は、明らかに集中治療室に送らないと決めたガイドラインの存在を知っていたはずです。
しかしこうした事実があるにもかかわらず、レナ・ハレングレン社会大臣は、スウェーデンの集中治療室ではいまだに空きがあると、毎日の会見で発表してきていたのです。
これが「老人へのコロナ戦略は失敗だった」と述べるだけで済まされることでしょうか?
失敗というよりも意図的に高齢者の保護しない政策を政府や公衆衛生局が進めていたのです。
矛盾点3:他の北欧諸国と比べ桁違いの死者数
さらにレナ・ハレングレン社会大臣は、スウェーデンのコロナ戦略が失敗したというにはまだ時期尚早とし、コロナ危機が終わった後わかるはずだと語っています。
4月17日、イギリスの新聞であるインデペンデントの記事によれば、スウェーデンでの死者数は他の北欧諸国と比較しても桁違いな数で、爆発的に死者数が増えていると記されています。
そうした既成事実があるにもかかわらず、スウェーデンの戦略が失敗と決めるのは時期尚早とは、どういうことなのでしょう?
いつこの判断する時期が来るのでしょうか?
またもし時期が来てコロナ戦略が失敗であった場合、これまで多くの人たちを特に何も対策をださず死亡させてきた責任は誰が取るのでしょうか?
過去の発言や行動に責任を持たないスウェーデン政治
スウェーデン当局はガイドラインをもうけ、老人や1つ以上の疾病のある患者は、集中治療室に空きがあるにもかかわらず、意図的に集中治療室に搬送していません。
これは「差別」を通り過ぎて国による意図的な「見殺し」とも考えられるのではないでしょうか?
しかしスウェーデンでは政府や政治家が過去の発言や行動に責任を持たない国です。
過去にもいくつも大きな問題がおきても、誰も責任や逮捕もされず、事件自体がいつのまにか消えていくことは多く起きています。
なので将来的にスウェーデンのコロナ戦略が失敗だとわかっても、スウェーデンでは誰も政府や政治家の責任は追求しないと考えられます。そして政治家は間違った発言や行動への責任をとらされることもなく、何事もなかったように責任問題はいつの間にか消えていくのです。。。
これが日本を含んだ世界の多くの国が憧れる、平等や人道主義をうたい高福祉国家と呼ばれるスウェーデンの実態なのです。