海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

スウェーデン首相、ついに高齢者コロナ戦略の失敗を認める!

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は24,623人、死亡者3,040人、100万人あたりで感染者は2,438人、死亡者は301人にもなっています。

 

日本の感染者数が15,253人、死亡者556人、100万人あたりで感染者は121人、死亡者は4人です。

 

スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は75倍以上も日本より高いことになります。

  

スウェーデン首相、ついに高齢者コロナ戦略の失敗を認める!

5月6日のブログでもスウェーデンでは非常多くの高齢者が亡くなっていることを記しました。

 

そして5月7日の公共テレビSVTによると、スウェーデンのローベン首相もスウェーデンにおける高齢者のコロナ対策が、失敗であったことを認めたと報道されています

 

記事によるとローベン首相は高齢者を感染から保護に関して失敗したとし、

 

「明らかに、高齢者介護スタッフの状態を改善する必要がある」

 

「民間事業の委託方針について再度考える必要がある」と語っています。

 

https://www.svtstatic.se/image/wide/992/26529026/1588856357?quality=70&format=auto

 

www.svt.se

 

4月25日に与党・社会民主党のレナ・ハレングレン社会大臣が、高齢者介護における感染拡大は「間違いなく大きな失敗だ」と述べたのに続き、スウェーデンのローベン首相も、スウェーデンの高齢者に対するコロナ対策が失敗であったことを認めたのです

 

www.aftonbladet.se

エーテル改革による民営化の失敗

ローベン首相は、高齢者コロナ対策が失敗した理由の1つに、高齢者施設の民営化をあげています。

 

そしてローベン首相は、

「私は高齢者介護の民営化自体は間違っているとは思わない。公的部門に私的な要素を取り入れる必要がある。しかし一方で、責任の分担を検討する必要がある。これらが良好な条件であり、民間事業への)委託方針が正しいかどうか再度考える必要があ」と語っています。

 

それというのはスウェーデンでは、1992年に実施された「エーデル改革(高齢者介護改革)」以降に高齢者福祉が民営化され、高齢者介護の業務は県から地方自治体へ移され、高齢者の特別住宅が整備されました。

 

そして民間企業への業務の委託が広まりましたが、民営施設への公的監視は厳しくされてきませんでした。

 

さらに国も地方自治体も、施設の質の向上や運営の透明性に十分に目を向けてこなかったため、高齢者施設での多くの問題や事件も起きてしまったのです。

 

高齢者虐待のカレマスキャンダル

その1つの事件として、2011年にカレマスキャンダルと呼ばれる、スウェーデンの社会に衝撃を走らせた事件が起きました。

 

このスキャンダルは国内大手の高齢者介護施設、カレマのずさんな実態が表面化した不祥事です

 

ベンチャー企業であるカレマは投資家の収益重視の運営を行い、サービスの質を下げまでコスト削減を行っていました。

 

そのため人件費節約のために、夜は入所者をベッドに縛り付けたりオムツ交換も一定の重量になるまでしてはいけないという指示も出していました。

 

このカレマスキャンダルにより、スウェーデンの高齢者施設での衝撃的な実態が明らかになったのです。

 

wedge.ismedia.jp

このようにエーテル改革により民営化された介護者施設は、コスト重視となりコスト削減を迫られたことで、サービスや介護の質の低老人ホーム内での犯罪件が発生など多くの問題を生んでしまったのです


そしてこうしたエーテル改革による民営化の影が、今のコロナ危機下でも大きく影響し、スウェーデンにおける多くの高齢者の死亡に繋がっていると、ローベン首相も語っているのです。

 

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いまだ全般のコロナ戦略は間違っていないと語るローベン首相

ただローベン首相はスウェーデンでの全般的なコロナ戦略に対しては、自信を持っているとSVTの記事では記されています。

 

しかしどうすればローベン首相はスウェーデンのコロナ対策へのいまだに自信を持ってるのでしょうか?

 

現在のスウェーデンのコロナによる死亡率は、他の北欧諸国と比較しても10倍以上高い死亡率です。

 

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またワールドメータズの統計データによる回復者数・死亡者数の割合による死亡率

スウェーデン:70.09%(4月28日時点)

デンマーク:6.51%(4月29日時点)

フィンランド:6.85(4月29日時点)

ノルウェー:(データなし)

日本:14.85%(4月29日時点)

 

globaljourney.hatenablog.com

もし今後さらに死亡者が増え続けた際、本日のローベン首相が高齢者へのコロナ戦略が間違っていたと発表したように、スウェーデンの全般的なコロナ戦略が間違っていたと発表する日がくるのではないでしょうか?


そうしたとき誰がこれほどまでの死亡者を生んだ、責任を取るのでしょうか?


スウェーデンは世界の国々のコロナ戦略に意を唱えつつも、スウェーデンは独自路線として、世界とは全く違うコロナ戦略をとっています。

 

しかし現実的にはスウェーデンでは非常に多くの死亡がでています。

 

将来的にさらに死亡者が増え、やはりスウェーデンのコロナ戦略が間違っていたと認めた時、政府や公衆衛生局の数人が辞任をして責任問題が解決するほど簡単な状況ではないはずです。

 

そのため一刻も早くスウェーデンのコロナ戦略を見直し、少しでも多くの人たちが死亡しない対策の実施を切に願っています。