政府発表による1週間で10万人のコロナ検査実施の不確実性と自治体の苦悩
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は24,623人、死亡者3,040人、100万人あたりで感染者は2,438人、死亡者は301人にもなっています。
日本の感染者数が15,477人、死亡者577人、100万人あたりで感染者は122人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は60倍以上も日本より高いことになります。
4月17日に1週間で10万人のコロナ検査実施すると公言したスウェーデン政府
4月17日の公共テレビSVTによると、スウェーデン政府は数週間後に、1週間で5万人から10万人のコロナ検査を実施すると公表しました。
スウェーデンの人口は1,023万人です。そうすると1週間で人口の約1%の人がコロナ検査を受けられることになります。
コロナ検査を大量に実施していると報道されるドイツでさえ、1週間で35万人、人口の約0.4%の人しかコロナ検査を受けれていません。
しかしスウェーデンで1週間に10万人の検査実施は、ドイツの2倍以上のコロナ検査を実施していくことなのです。
そのため私の4月19日のブログで、スウェーデンがドイツの2倍以上のコロナ検査を本当に実施できるのか疑問点を記しました。
1週間で10万人のコロナ検査実施の不確実性と自治体の苦悩
4月17日にローベン首相は数週間後に10万人のコロナ検査実施可能と公言しました。
通常、「数週間」とは通常2、3週間のはずですから、本日5月8日がちょうど3週間後になります。
実際に1週間で10万人のコロナ検査が可能となったのでしょうか?
5月9日の公共テレビSVTによれば、「1週間に10万人のコロナ検査実施への不確実性」とした記事を記しています。
記事によれば「先週は2万9,000人の検査分析された」と報じられています。
スコーネ県では、政府のコロナ検査増加の発表後に自治体が検査拡大の努力を続け、1週間の検査数が25〜30%増加し、検査数が合計1,200を超えただろうと推定しています。
しかし政府の公言した10万人には程遠い結果であることがわかります。
そのため記事でも、
「いくつかの地域では今後どのような方法で検査数を増やすのか疑問に思っている人がいる。政府の公言した1週間で10万回のコロナ検査実施に到達するには、毎日数万回以上の検査が必要になります。その実施に対する責任は県や地方自治体にある」と報じられています。
この記事からわかることは、10万人もの検査が可能かどうかの疑問に加え、スウェーデンでは政府が具体的政策をもたず1週間に10万人検査実施を公言しても、その責任は地方自治体に負わされている事がわかります。
さらに地方自治体は政府からの強い検査数増大要求を受け、今後さらに検査数の増大を迫られています。
そうしたさらなるコロナ検査数の増大に関して、イェムトランドハージェダーレン県の責任者である感染管理医師であるミカエルヴィデストロムは、
「これ以上検査数を増加するのは不可能です」と語っています。
ストックホルムの地域開発評議会のエラボーリ氏も、
「政府は政策を明確にしなければならない。どのように検査数を増やすのか、またその検査の目的は何なのだ?」と語っています。
またヴェストラヨータランド地域のコロナ検査担当のパー・シコラ氏も、
「スウェーデンが10万のコロナ検査実施をしても、検査ラボが対応できなければ意味がない」と語っています。
このように政府は具体的な政策もなく、1週間に10万人検査実施と実現可能かどうかわからない検査数を公言したにもかかわらず、その実施に関する責任は地方自治体におしつけています。
そのため地方自治体はその具体策のない政府の発言に苦労を強いられているのです。
実施までの期限と有言実施
4月17日に政府は「数週間後」に実施可能と公言しました。
「数週間」とは通常2、3週間のはずですから、本日5月8日は公表からちょうど3週間後にあたります。
しかし3週間過ぎた現在でも、10万人の検査は実施されておらず、さらに実施可能な具体的な検査方法も確立されていない状況です。
しかしSVTによると1週間で10万人の検査実施は5月中旬であろうとのことです。
中旬が15日と考えると、1週間後の5月15日がちょうど中旬にあたり、まだ1週間ほど期間あります。
5月15日を迎えることで、本当にスウェーデン政府が、ただの口先だけのコロナ対策を実施しているというアピールるでなく、有言実行するのかわかるはずです。
もし実施できるならば、政府は実施可能という確証があり、人口当たりではドイツの2倍以上の検査をすると自信をもって公言していたことになります。
しかしもし実施できなかった場合は、いつもよくあるスウェーデン流の過去の発言に責任を持たない発言であり、一時的な政府への非難を回避のための発言、世界へスウェーデンは対策をしているとアピールをする発言であったと受け取れるのです。
ただ期限まで1週間ありますので、スウェーデン政府が口先だけでなく、有言実行することを願っています。