海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

1週間で10万人のコロナ検査を実施すると発表したスウェーデン政府

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は14,385人、死亡者1,540人、100万人あたりでは1,424人にもなっています。

 

日本の感染者数が10,296人、死亡者222人、100万人あたりでは81人ですので、スウェーデンは人口あたり17倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。

 

1週間で10万人のコロナ検査を実施すると発表したスウェーデン政府

4月17日の公共テレビSVTによると、スウェーデンのローベン首相が数週間後に一週間で5万人から10万人のコロナ検査を実施すると公表しました。


レナ・ハレングレン社会相は、スウェーデンの新しいコロナ戦略として、社会的に重要な職務である警察や救急サービス、職員へのコロナ検査を今後実施していくと述べています。


これまでスウェーデン政府はメディアにもほとんど出ず、具体的な規制や対策をせず、してこなかったことから考えると、少し政府らしい発言となり前進したような感じを受けます。

 

しかしこの政府の発言からいくつかの疑問点がでてきます

 

www.svt.se

疑問点1:スウェーデンで1週間に10万人ものコロナ検査を実施することが実際に可能なのでしょうか?


スウェーデンの人口は1,023万人です。そうすると1週間で人口の約1%の人がコロナ検査を受けられることになります。


コロナ検査を大量に実施していると報道されるドイツでさえ、1週間で35万人、人口の約0.4%の人しかコロナ検査を受けれていません。

 

www.nikkei.com

しかしスウェーデンで1週間に10万人の検査実施はドイツの2倍以上のコロナ検査を実施していくことなのです。


何度かこのブログで記載しましたが、スウェーデンの医療は平常時でさえも非常に低いレベルです。

 

専門医に診てもらうために2,3ヶ月待ちは当り前、長いときは数年待っても専門医に診てもらうことすらできません。

血液検査をしても、結果がでるまでに1ヶ月以上かかります。

 

そのような国でドイツの2倍以上のコロナ検査を本当に実施できるのでしょうか?

 

 

疑問点2:「数週間後」に実施予定という曖昧な実施日

政府はこのコロナ検査を、「数週間後」に実施をするとまたもや曖昧な予定日を発表しています。「数週間後」とはいつのことなのでしょう?

 

それというのはスウェーデンではよく曖昧な期限を設け、いろいろと口実をつけて先延ばしにすることが非常に多いです。

 

そのため今回のコロナ検査実施も「数週間後」といいつつ1ヶ月以上、もしくは数ヶ月、さらにそれ以上の日程がかかることは十分に考えられます。

 

疑問点3:検査実施方法はいまだに検討中であること

政府は1週間で10万人ものコロナ検査を数週間後に実施すると発表しました。

にもかかわらずいまだに検査実施方法は検討中だとのことです。

 

本当に2、3週間で1週間に10万人ものコロナ検査を、具体的な検査方法も確立されてい状況で実施が可能なのでしょうか?

 

1つの方法として個人が検査キッドを使い、検体を検査センターに送る方法もあがっていますが、個人で検査を実施するので検査に信頼性があるものなのかという疑問もあります。


しかし何せ過去の発言に責任をもたないスウェーデンの政治家の発言です。実際に数週間後に実施するという確証もなければ、10万人実施するといって1万人にも満たなくて政府は責任を追求されることもありません


なので今後本当にどれだけのコロナ検査が実施されるかはわからないのです。

 

コロナによる死亡率が非常に高いスウェーデン

4月17日の公共ラジオSRによると、レナ・ハレングレン社会相はスウェーデンでは現在528人がコロナ感染患者のために集中治療室が使用されている。そしてここ数日の集中治療室使用数は変わっておらず、国内の集中治療室がまだ空いていると語っています。

 

sverigesradio.se 

仮にこの発言が正しいとしたと仮定します。


そうすると毎日100人位の死亡者がでているスウェーデンの現状から考えて、集中治療室に入っても多くの患者が亡くなるため、集中治療室が空いているとも考えられるのです。


実際にワールドメータスの統計によれば、終結した事例における死亡数と回復数の比率は、スウェーデンでは死亡率が73.31%にもおよび多くのコロナ患者により医療崩壊が起きているイタリア、スペインと比べても非常に高、隣国フィンランド5.03%と比べると桁違いに高いことがわかります。

 

スウェーデン死亡率(4月18日時点)73.31%

フィンランド死亡率  (4月18日時点)5.03%

イタリア死亡率       (4月18日時点)34.08%

スペイン死亡率      (4月18日時点)21.13%

フランス死亡率    (4月18日時点)34.94%

日本死亡率            (4月18日時点)17.20%

ドイツ死亡率       (4月18日時点) 5.05%

 

www.worldometers.info

 

このようにもし死亡者数が多いスウェーデンで集中治療室が空いているならば、レナ・ハレングレン社会相の発言はスウェーデンで危篤患者が増加していないという意味ではなく、ただ単にスウェーデンの医療レベルが低く、集中治療室での死亡数が高い事を意味していることになるのです。

 

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スウェーデンコロナによる死亡率

 

www.worldometers.info