4月8日 フィンランドとスウェーデンの緊急事態時への備えの大きな違い
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は7,693人、死亡者591人、100万人あたりでは762人にもなっています。
日本の感染者数が4,257人、死亡者93 人、100万人あたりでは34人ですので、スウェーデンは人口あたり22倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。
コロナ危機の間において政府が力を強める決定
4月7日の新聞エクスプレッセンによると、スウェーデンの政府は、コロナウイルスの蔓延を防止するために政府が迅速な決定を下せる権限が持てることを可決しました。
そのため議会の承認を得ることなく、政府は学校やショッピングモール、レストランなどの閉鎖が可能になります。
この法律は4月18日から6月30日まで適用され、コロナウイルス危機に関連する措置のみ適用されることになります。
またもや政府内部での矛盾発言
4月7日にコロナ危機の間にのみ政府の権限を強める決定がされ、その際にレナ・ハレングレン保健相は、
「私たちは今、歴史的に困難な状況を経験しており、必要に応じて困難な決定をする機会が必要です」
「たとえ国会が迅速に機能するようになったとしても、決定まで日数がかかるかもしれません。しかし政府はそのリスクの準備ができていません」と語ています。
またハレングレン保健相は、現在、政府には新法のもとでとられる具体的措置の計画がまだないと語っています。
https://www.thelocal.se/20200310/timeline-how-the-coronavirus-has-developed-in-sweden
しかし4月3日ローベン首相に新聞ダーゲン・ニーヘタのインタビューで、
「私たちは数千人の死者を予測してます。 私たちがそれに準備することは同様に良いことです」と語っています。
またスウェーデン政府のコロナ危機への対応には後悔がなく、他国の戦略とは異なるものと考えるべきだと述べています。
このローベン首相の発言はよくあるスウェーデン流のあいまい発言であり、何を意味しているのかよくわかりませんが、政府がコロナ拡散防止策の戦略があり、その準備ができていると読み取れます。
これからわかることとして、4月3日にローベン首相は、コロナ危機下で多くの人が死ぬことに対する「準備ができている」と語る反面、4月7日にレナ・ハレングレン保健相は「新法下でも具体的な対策の準備ができていない」と矛盾した発言しているのです。
そして首相と保健相とが矛盾した発言をしていることからも、政府内部でさえ統率できていないスウェーデン政府の実態がわかるのです。
そのため今後4月18日に政府が権限を強めたとしても、政府が迅速にコロナ拡散防止の具体的な対策を打ち出し、本当に国民を守れるのか大きな疑問が残ります。
フィンランドとスウェーデンの緊急事態への備えの違い
4月7日にフィンランド政府は、これまでのコロナ感染拡大防止規制に加え、さらにコロナ対策が厳しくなく、感染率が高いスウェーデンとの国境を厳しく取り締まる措置を講じました。この措置によりスウェーデンからの労働者は、国境を超える場合には雇用主からの許可証の携帯、およびフィンランド到着時には14日間検疫下に置かれなければならないことを決定しました。こうした厳しい規制をもうけているフィンランドは、ヨーロッパの中ではもコロナ感染率を低く抑えられている国です。
しかし反面、スウェーデン政府はいまだに具体的な規制をほとんど行っておらず、コロナ感染者を急増させています。
https://www.thelocal.se/20200407/coronavirus-how-finlands-new-border-measures-affect-sweden
スウェーデンとフィンランドは隣同士の国です。そのため日本人にとって北欧というとスウェーデンもフィンランドも同じようにイメージするかもしれません。
しかしフィンランドとスウェーデンは民族も違えば歴史も違うのです。
スウェーデンはゲルマン系なのに対して、フィンランドはフィン人とも呼ばれ、どちらかというと日本人に近いモンゴロイド系のDNAをも含む民族なのです。
またフィンランドはスウェーデンやロシアに長い間侵略されてきた歴史があり、1918年にとうとうフィンランド共和国が成立しました。
このように一見似ているようなスウェーデンとフィンランドですが、大きく異なる国なのです。このことは現在のコロナ危機でも大きく違います。
フィンランドは551万人の国であり、スウェーデンの人口の約半分程の人口です。
フィンランドのコロナ感染者数もスウェーデンと比べると約3分の1ほどに抑えられています。しかしフィンランドは3月16日早々に非常事態を宣言し、コロナ感染症に対処するための追加措置を発表しました。
その主な措置は、海外渡航禁止(陸路含む)、フィンランド人と在留外国人を除く渡航者の入国停止、10人超の集会の禁止、公営博物館・劇場・文化施設・図書館やスポーツ施設の閉鎖など。また、3月18日より学校や大学は閉鎖となり、自宅でのEラーニングまたは自習へと移行。ただし、保育・幼児関連施設と小学校低学年を対象とした対面教育は、業務上、就業が必須とされる親の子女のみを対象に継続します。
そしてこれらの措置は、4月13日まで続けられる予定です。
しかしスウェーデンはフィンランドよりも遥かにコロナ感染がひどいにもかかわらず、いまだ具体的な規制や、非常事態宣言もおこなっていません。
このように同じ北欧でもフィンランドとスウェーデンはコロナ対策でも大きく違うのです。
こうしたスウェーデンとフィンランドの大きな違いは、4月5日のニューヨークタイムズにも記されています。
この記事よるとフィンランドは、冷戦下にソ連と隣国する国であったため、常に緊急事態を想定して、医療マスクなどの個人用防護具などを備蓄していました。
さらに医薬品だけでなく油や穀物、農業用具、弾薬を作るための原材料も備えていたのです。
それではスウェーデンはどうなのでしょう?
スウェーデンは冷戦時代には医薬品、燃料、食料を備蓄していましたが、その後は全て廃棄してしまい緊急事態のための備蓄がまったくないのです。
そのため今回のコロナ危機では、緊急時のために備えていたフィンランドは、医薬品、食料など十分揃っていますが、緊急事態を何も想定していなかったスウェーデンには医療品や燃料、食料などがまったくないのです。
4月5日のスウェーデン公共テレビSVTでも、フィンランドには緊急事態用に医薬品をそろえているが、スウェーデンは緊急用の医薬品がないと報道しています。
さらにこのSVTのニュースでは、フィンランドの法律で、フィンランドが緊急事態用を想定していた備蓄品はフィンランドのためにしか使用してはならないとあり、スウェーデンの分はないと報道しています。
一般的な国家であれば、フィンランド政府のように国家が緊急事態に備え医薬品や食料を備蓄しておくはずです。しかしスウェーデンはそうした備蓄をしていなかっただけでなく、緊急事態ではフィンランドから備蓄を貰えるのではないか当てにもしていたのです。
この記事からも、スウェーデン政府は緊急事態に対する何の対策もしておらず、行き当たりばったりの政策しかしていない政府であることがよくわかるのではないでしょうか。