4月1日 矛盾だらけの公衆衛生局長アンダーシュ・テグネルの発言！
本日のコロナ感染者は
スウェーデン：コロナ感染者総数は4435人、死者180人、100万人あたり439人。
日本： コロナ感染者総数は2178人、死者57人、 100万人あたり17人。
人口あたりにするとスウェーデンは25倍以上日本のコロナ感染者数が多いことがわかります。
しかしいまだスウェーデンでは他のヨーロッパ諸国と比較しても、まったくといいほどコロナ感染防止の規制もされていません。唯一あるのはレストランでは立って食べては行けないという、国民に行儀でも教授を目的としたような理解に難しいコロナ防止規制です。
またスウェーデンのマスコミでは、毎日のようにスウェーデンのコロナ拡大防止に責任のある、スウェーデン公衆衛生局の長であるアンダーシュ・テグネルが出演しています。ただこのアンダーシュ・テグネルの発言、すこし普通に考えればつっこみどころが満載で矛盾だらけの発言を常にしているのです。
矛盾１：
3月26日のSVTでは、SVTレポーターがなぜスウェーデンでは他の国とちがい、学校閉鎖や隔離措置などの規制をしないのか公衆衛生局長アンダーシュに質問しています。
またもしアンダーシュの行っている政策が間違っており、多くの国民の生命に危害がおよんだ場合どうするのかと質問しています。
その質問に対して、アンダーシュは「その場合、間違ったのは私ではない。それはスウェーデン公衆衛生局だ」と、スウェーデン全国民の生命をあずかる立場にいる公衆衛生局の長としてあるまじき発言を、平気でしているのです。しかしレポーターもさらに追求しての質問はしていません。
仮に政府や公衆衛生局が自分たちの責任ではないと言い逃れをしても、スウェーデンは法治国家であります。そのためこうした公衆衛生上におきた責任はどの組織にあるのか法律には記されているはずです。
そのためメディアも法律的な解釈ではどの組織の誰に責任があるのかは、法律を調べればわかるずであり、責任追及ができます。
しかし公衆衛生局の長が責任逃れのような発言をしてもメディアはこの責任を追求していかないのです。
本来、メディアは真相の追求をすることがメディアの役目であるはずです。しかしSVTでは、公衆衛生局長アンダーシュの発言に言及していくことはありませんでした。ここでもSVTがメディアとして本来の役割をはたしていないことがわかるのです。
ただ私はスウェーデンに長く住んできますので、長年の経験から、スウェーデンでは責任を不明確にすることが非常に多いことを知っています。スウェーデン人は責任というものをあえて明確にしないことにより、あとで良いことでも悪いことでも、後で都合のいいように言い訳ができるようにしているのです。
そのためスウェーデンは法治国家ではあるものの、政府や官庁、メディアもあえて責任を追求することもせず、あとでいいように解釈できるようにし、お互いが責任回避をできるようにしているのです。
矛盾２：
公衆衛生局長アンダーシュはスウェーデンが規制を行わない理由として次のように述べています。
「スウェーデンでは、信頼、自発性、そして自分で良い解決策を見つけることが基礎となっている。しかし他の国では、国民が対策に従うために、法律を使用しなければならないというその国の伝統がある。しかしスウェーデンではそうした規制がなくても、スウェーデン人は当局の助言に耳を傾ける国民であるので規制を行わない」と発言しているのです。
このように公衆衛生局長アンダーシュは、スウェーデン人が伝統的に当局に耳を傾ける国民が多いため厳しいコロナ規制を行わないと述べているのです。
しかし現在のスウェーデンは近年に非常に多くの難民・移民が流入しており、アメリカのような多国籍文化の国家となっています。
広島修道大学 商学部 川瀬正樹教授の『スウェーデンにおける移民の流入と居住分化』によれば、スウェーデン全体の移民とその家族（外国に背景をもつ人）の割合は21.5％におよびます。またストックホルムでは31.1％、ヨーテボリでは32.4％、マルメでは42.6％にも達しているのです。
特にマルメは片親が移民である場合を合算すると50.9％と半数を超え、先住スウェーデンよりも移民の割合のが高くなっているのです。
アンダーシュはスウェーデンには当局の助言をきく人たちが多いから規制を行わないと発言していました。しかし多くの難民・移民はスウェーデンの伝統など知りもせず、当局の助言に耳を傾けない国民が多くいます。そのため他国と同様に厳しい規制がないのならば外に出歩く人も多く、実際に多くのコロナ感染がスウェーデンで爆発的に広がっているのです。
さらにイギリスの新聞BBCによれば、「スウェーデン医学協会は、過密住宅を共有するリスクが高いストックホルムのソマリア人の多い地区での死亡や感染の割合が高いため、スウェーデン語を話さない居住者に十分な情報を提供できていないことに懸念を表明しています」とあります。
この記事からわかることは、難民・移民が伝統を知らないためコロナ感染が広がるという話をする以前に、移民・難民はスウェーデン語ができないためコロナ感染防止情報を受け取れないため、高い感染者率や死亡者数が増加を生んでいることがわかるのです。
このようにスウェーデン人が伝統として当局の助言に耳を傾ける国民が多いから、スウェーデンでは規制を行う必要がないというアンダーシュの発言には大きな矛盾があります。そして実際のスウェーデンには多くの伝統を知らない人たちがおり、さらにスウェーデン語ができず正確なコロナ情報を受け取れないため、スウェーデンでコロナ感染が爆発的に拡大している実態があるのです。
矛盾３：
上記BBCのニュースによれば、スウェーデン語ができないため、移民・難民にはコロナ感染防止情報が行き届かず、ソマリア人の多い地区では高い感染者率と死亡者の数が増加していると報じられています。
しかしスウェーデン政府は3月15日に、国民が政府からの的確なコロナ情報を送信するため、7,500万クローナ（約8億2千万円）を投じて、政府による正しいコロナ情報の発信のために資金を投入すると発表しました。
しかし現実としてストックホルムのソマリアコミュニティでは正確な情報が伝わらず感染者数、死亡者数が増加しているならば、この政府が投じた巨額な資金はいまだに役にたっていないことがわかります。
またスウェーデン政府はこの資金が具体的に何に使われるのか報じていないため、どのようなコロナ情報を国民が政府から得られるのかも不明です。
実際に私も3月12日から現在に至るまで、まったくスウェーデン政府から公式なコロナ関連情報を受け取っていません。
私が受け取るのは、日本の在日スウェーデン大使館から送られてくるEメールに記されたスウェーデンのコロナ対策情報です。その日本の外務省の情報により公式なスウェーデン政府のコロナ対策がわかるのみです。
そのため、今回のコロナのような緊急事態下において、スウェーデン政府による正しいコロナ情報の発信がいまだにできていないのならば、この3月15日に投じた7500万クローナの資金はただの税金のムダ遣いであるとしかいえないのです。
矛盾４：
公衆衛生局長アンダーシュはSVTの中で「これまでのところ、このスウェーデンのコロナ状況は安定している。医療機関は私たちの指示をよく聞きうまく機能している」と発言しています。
しかし3月31日の新聞アフトンブロデットでは、2人のスウェーデン医師がコロナに感染して救急措置室に搬送されたと報道しています。
さらに同日の新聞アフトンブロデットで、スウェーデン東部に位置するスンズヴァル市のスンズヴァル病院では院内感染も広がっており、同様の疑いが国内の他の病院でも起きていると報じています。
この状況下がアンダーシュの発言した、「スウェーデンのコロナ状況は安定している」といえる状況でしょうか？
現在のスウェーデンのコロナ感染状況をイタリアと比較すると、約2週間前のイタリアとほぼ同じ状態なのです。
4月1日時点のスウェーデン（人口1,012万）：コロナ感染者総数は4,435人、死者180人、100万人あたり439人。
3月16日時点のイタリア（人口6,048万人）： コロナ感染者総数は27,980人、死者2158人、100万人あたり462人
現在のイタリアは医療崩壊の直前とも言われています。
そして数週間後にはスェーデンも、イタリアのように医療崩壊に直面する危険性は非常に高くなると考えられます。そのためスウェーデンがアンダーシュがいう安定している状況とはとても言えるはずがないのです。
スウェーデン政府の無規制コロナ政策が引き起こす他国への問題：
こうしたコロナ対策を特にしないスウェーデンの問題は、スウェーデン国内だけの問題ではありません。
フィンランドでは3月16日に国境を閉鎖しています。
3月29日のフィンランドの新聞ヘルシンギン・サノマットによれば、スウェーデン政府が北方にあるラップランド地方の国境を閉鎖しないことにより、フィンランド政府はコロナ感染の疑いのあるスウェーデン人が、フィンランドに入国する可能性があるため困っているのです。
このように現在のコロナ感染対策はスウェーデン一国の問題では決してありません。
そのためスウェーデン政府がコロナ対策は自国での方針であると主張し規制を行わないのは自分勝手であり、スウェーデン政府の無規制コロナ対策が他国へもコロナ感染の拡大をひきおこし、迷惑かけていることを考慮して、対策を検討するべきなのです。
現在、世界中に脅威をもたらすコロナウィルスに打ち勝つために、スウェーデンは自分本位での勝手な政策ではなく、国際協調をし世界とともにコロナ対策に望まなくてはならないのです。
