4月9日 トランプ大統領も集団免疫まちで規制をしないスウェーデンを非難
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は8,419人、死亡者687人、100万人あたりでは834人にもなっています。
日本の感染者数が4,667人、死亡者94人、100万人あたりでは37人ですので、スウェーデンは人口あたり22倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。
トランプ大統領も集団免疫をまちで規制をしないスウェーデンを非難
スウェーデンはいまだ特にコロナ感染拡大防止の為に特に規制がだされていない、世界でも唯一ともよばれる国です。
こうしたスウェーデンに対して、4月8日の新聞アフトンブロデットによれば、アメリカのトランプ大統領が会見の中で、スウェーデン政府のコロナ対策について非難している記事が報じられています。
この会見でトランプ大統領は「今、人々はスウェーデンについて話している。ほとんどすべての国々が私たちアメリカと同じように行動をしているが、(していない)スウェーデンは深刻な苦しみを経験している」と語り、アメリカでは都市閉鎖という厳しい規制のコロナ戦略により、数十万の命が救われたとも述べています。
実際にアメリカの多くの州では厳しい制限が課せられ、市民は家にいるよう奨励されており、レストランや学校、ジムなども閉鎖されてます。
現在のコロナ感染状況からみても当然の判断だと考えられるのです。
しかしスウェーデン政府や公衆衛生局は国民にアドバイス程度の勧告をするのみであり、国民にコロナ拡散防止の責任があると述べているため、小中学校や保育施設も開いたまま、レストラン、バー、フィットネスクラブもいまだ普通に営業しています。
そのためスウェーデンのコロナ感染者数は増大しています。その感染者数は人口当たり日本の22倍、またコロナ拡大時初めには感染者が増大していた、イランをも超えている状況です。にもかかわらずスウェーデンはいまだに厳しい規制を設けてはいないのです。
こうしたトランプ大統領によるスウェーデン批判に対して、スウェーデン公衆衛生局長のアンダーステグネルは、
「はい、今、トランプ大統領の発言を真剣に受け止めるべきではない。 すべての国が多かれ少なかれ苦しんでいるのは事実だ。 もちろんスウェーデンでも、特に医療機関が非常に困難な状況だ。 しかし私の親戚がいるニューヨークの状況と比較すると、スウェーデンはまだ非常にうまく機能している」
「ニューヨークの医療機関は非常に深刻な状況にある。私が理解しているように、アメリカにはすでに患者を収容する十分な設備と場所がないという状況だ」と反論しています。
しかし4月5日のブログで記載しましたが、カロリンスカ大学病院はすでに医療崩壊の危機に直面しています。そのためスウェーデンの医療機関がうまくいっているとはとても言えないはずです。
さらにトランプ大統領は集団免疫についても言及しています。
「集団、スウェーデンは集団と呼びます。スウェーデンは非常に苦しんでいる。集団免疫は1つの方法ではあるが、多くの国々はアメリカのように閉鎖対策を行っている。閉鎖を行わなければさらに数十万の命を失うことになる」とトランプ大統領は語り、集団免疫戦略が間違いで多くの人たちの死を招くと述べているのです。
このトランプ大統領の発言に対してスウェーデン公衆衛生局長のアンダーシュは、
「感染症を研究する私たちは、この種の病気が全ての人々が免疫を獲得するまで拡大し続けることを知っている。そして感染を止める方法は他にはない」と述べているのです。
このようにスウェーデンのコロナ拡散防止の指揮をとる公衆衛生局長が、スウェーデンは集団免疫以外に方法はないから閉鎖しないと、公の場で発言しているのです。
ただここにもアンダーシュの過去の発言と矛盾があり、3月15日の公共テレビSVTによれば、アンダーシュはスウェーデンが集団感染をとる戦略でないと述べていました。
どちらにせよ現在のスウェーデンでは小中学校、幼稚園の閉鎖しないため、子どもたちにもコロナ感染が広がっています。
そしてスウェーデンは真っ先に守るべき子どもをも守らず、さらに国民全ての生命・健康への甚大な危害があるとわかっていても、免疫ができるまでは仕方がないとし、何も対策を取らないと公の場で発表しているのです。
人道主義国家と謳うスウェーデンの本当の姿
こうした緊急事態の中でも、国民を守るために何もしないスウェーデン政府の姿がわかるはずです。
そうすると今日まで人権主義国や子ども重視の国であると、世界に大々的にアピールしてきたスウェーデンは何だったのでしょうか?
これまで人道主義と謳っていましたが、今国民の生命や生命の危機に直面する中で、多くの国民が不安を訴えつつも、何もしないと平気で語るスウェーデンの実態があります。
このブログを読んだ方は、今まで日本のマスコミから報道しているスウェーデンのイメージと大きく違い、スウェーデンはコロナ対策に関してはおかしな政策をとっていると感じるかもしれません。
しかしこうしたスウェーデンの常識から逸脱するような発言や行動は、今回のコロナ対策だけに限ったことではないのです。
ただ日本人を含め多くの人たちが知らないだけなのです。
たとえばスウェーデンは人道主義を唱えつつも、人口当たり世界第3番目の軍事輸出大国です。
また環境保護国といいつつも、実は年金の一部は石油企業に投資されて年金を運用しています。
2019年の新聞ヨーテボリポストによれば最低保証年金を運用している1つのファンドで、14億クローナ(168億円)もの金額が石油・ガス企業に投資運用され、その投資先の石油・ガス企業は、世界で二酸化炭素排出量が最も懸念される100企業のうち32企業であったとリークされました。
このようにスウェーデンでは言っている事とやっていることが、全く違う事がとても多いのです。
しかしスウェーデンは日本とは違いアピール能力が非常に長けた国です。
そのためプラス面だけは世界に大々的にアピールし、自国の利益を生み出しています。
しかしマイナス面はまったく外にださないため、裏では発言と全く反対のことも行っています。
そして世界のメディアはスウェーデンの良い面だけをよく取り上げていますが、スウェーデンの人口1,023万人しかいない小国であるため、何か矛盾があったり悪いことが起きていても、アメリカ、中国、ロシア、日本などの大国とは違い世界は特に気にしないのです。
このようにスウェーデンは小国である利点をうまく利用し、自国の利益を高める、二面性をもつ国なのです。
ただこうした事実を知らない日本のマスコミは、スウェーデンはなんとクリーンで夢のような国だとして報道をしています。そして多くの日本人もスウェーデンは何と素晴らしい国だとし、スウェーデンの信頼度が上がりスウェーデン企業のビジネスを拡大、スウェーデン経済を押し上げ、スウェーデン企業に大きな利益をもたらしています。
そのため国民の生命・健康を犠牲にしてでも経済保護に力を注ぐスウェーデンコロナ対策も、実はこれまでのスウェーデンのやり方と特に変わりません。
そしてこれが人道主義と謳っているスウェーデンの本当の姿なのです。