22人のスウェーデン人研究者が集団感染戦略は危険で非現実的戦略と指摘
本日のスウェーデン感染者状況
本日におけるスウェーデンの感染者総数は28,582人、死亡者3,529人、100万人あたりで感染者は2,830人、死亡者は349人にもなっています。
日本の感染者数が16,049人、死亡者678人、100万人あたりで感染者は127人、死亡者は5人です。
スウェーデンにおける人口あたりの死亡数は69倍以上も日本より高いことになります。
世界で9番目に高い人口あたりの死亡数
最近は日本でもスウェーデンのコロナ拡大防止戦略がうまく機能していないという話が広がってきたと聞きます。
実際にスウェーデンでも、ローベン首相が5月8日にスウェーデンの高齢者コロナ対策が失敗であることを認めました。
ローベン首相はいまだ全体のコロナ戦略には自信があると語っていますが、高齢者コロナ対策の失敗を認めたことにより、今後スウェーデンのコロナ対策戦略が徐々に変化していくと考えられます。
それではどれだけ、スウェーデンの死亡者数が高いのかを世界の国々と比較してみます。
世界196カ国あるうち、人口あたりの死亡者数トップ10の国を、統計サイト・ワールドメータスのデータを使い表したものが次のようになります。(5月14日時点)
スウェーデンの人口あたりの死亡者数は、世界でも第9番目に死亡数が高いことがわかります。
このように世界で比較しても、スウェーデンの死亡者数が非常に多いことがわかるのです。
スウェーデンの回復者数、死亡者数の割合による死亡率は41.04%となっています。
ちなみに日本の人口あたりの死亡者数は5人であり、世界の平均38.3人よりもかなり低く、世界でも91番目と世界の国でも死亡数の少ない半数以下の国に位置しています。
22人のスウェーデン人研究者がスウェーデン集団感染戦略は非常に危険で非現実的戦略と指摘
5月14日の新聞アフトンブロデットによると、カロリンスカ研究所やルンド大学、ヨーテボリ大学、サラグレンスカ大学病院など名だたるスウェーデンの大学から22人の研究者が集まり、新聞ダーゲンニーヘタにより開催された討論会で、スウェーデンのコロナ戦略に関する討論がされたと報じられています。
そして22人の研究者の意見としては、現在スウェーデンが進めているコロナ集団感染戦略は危険で非現実的な戦略であり、
「人を死なせるのではなく、効果的な治療法やワクチンが使えるようになるまで、何とか人々が亡くならないように努力するべきだ」と語り、集団免疫を実現するという戦略を批判しています。
そしてこの研究者たちによると、集団免疫とは人口の少なくとも50から70%が感染するか、ワクチン接種によって免疫されているときに発生するとのことです。
そのため現在のスウェーデンにおいて、集団免疫を獲得する可能性は低く、
「将来の集団免疫に依存することは非現実的であり危険だ。多くの医学的検査の結果を評価し、適用できるようになるまで、可能な限り人々の生存を維持するよう努めるべきだ」と語っているのです。
まったくその通りです。
常識で考えれば、他のどこの国も行っているように可能な限り感染者や死亡者を減らすのがコロナ感染拡大防止の責任をもつ、公衆衛生局や政府の役目ではないのでしょうか?
多くの人が感染し死亡していくのを、何もせず見届ける事を「戦略」とよぶ事自体がおかしいのではないでしょうか?
根拠のない集団感染と可能性の疑問視
またこの研究者たちも、当初スウェーデン公衆衛生局は集団感染が、スウェーデンの戦略ではないと繰り返し語っていたと述べています。しかしこの数週間で公衆衛生局の意見が変わったとのことです。
そして研究者たちは、
「現在、公衆衛生局は集団免疫がスウェーデンで唯一の戦略であると語っている。そしてストックホルム地域で、集団免疫に非常に近づいていると信じられている。
しかしその根拠はストックホルムの人たちが、コロナ感染してることに気づいていないが、実際は感染しているというあくまで仮定のにもとづいての話だ」と述べているのです。
さらに研究者たちは、
「集団免疫は6万人に1人が感染して亡くなるような水痘のような病気には有効かもしれない。しかし 100人に1人が死亡する可能性のある病気では効果が低下する」と語っているのです。
こうした名だたるスウェーデンの大学から集まった22人の研究者でさえ、スウェーデン公衆衛生局の主張する集団感染戦略に、大きな疑問をもっていることがわかります。
ベルギーと比較した集団感染の可能性の低さ
また研究者たちはスウェーデンよりも人口あたりの死亡者数が多いベルギーのデータを参考にし、
「4月26日時点でベルギーでは100万人あたり619人の死者が出ており、死者数はスウェーデンの2倍近くだが、それでも抗体を保有しているのはほんの6%にしかすぎない」と語ています。
さらにベルギーの疫学者ピエール・ヴァン・ダム氏も集団免疫は解決策にならないと語っていることから、研究者たちはスウェーデンの集団免疫戦略の実現の低さを指摘しているのです。
公衆衛生局の戦略の変更への疑問
この記事の中で22人の研究者たちも、元々はスウェーデン公衆衛生局は集団感染戦略がスウェーデンの戦略ではなかったと語っています。
しかしなぜかいつの間にか、公衆衛生局は集団感染が唯一のコロナ戦略と報じられるようになっているのです。
こうした過程をみていくと、スウェーデン公衆衛生局には具体的なコロナ戦略がなかったのではないかと感じてきます。
しかしここまでスウェーデンでコロナ感染が拡大してしまったため、後付で集団感染戦略と言い訳をしているようにも考えられるのです。
もしくは5月5日のブログにも書きましたが、何かしら公衆衛生局に圧力がかかり、公衆衛生局が戦略の変更を強いられたとも考えられるのです。
しかしどちらにせよ現在のスウェーデンのコロナ戦略下、非常に多くの死者が出ている事実にはかわりはありません。
この22人のスウェーデン研究者が指摘するように、公衆衛生局は一刻も早く現実的な対策を講じる必要があるのではないでしょうか?