海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

3月26日 スウェーデンの感染症危険情報がレベル3となるが、何も対策を出さないスウェーデン政府と、それを擁護するスウェーデンのメディア

日本の外務省によると全世界での危険情報のレベルがレベル2となり、スウェーデンでは感染症危険情報がレベル3に上がりました。


そしてヨーロッパの多くの国々、イギリスやイタリア、スペイン、ドイツ、フランス、北欧諸国のフィンランドやデンマーク、ノルウェーも学校閉鎖や都市の閉鎖されています。にもかかわらずスウェーデン政府は、都市の閉鎖どころかいっこうに具体的なコロナ感染対策をうちだしさえしてはいないのです。こうしたスウェーデン政府の対応に、多くのスウェーデン人は政府の政策が間違っていると口々に話しをしています。しかしそれでもスウェーデン政府の具体的なコロナ対策もおこなわず、小中学校もいまだに閉鎖や規制もされてもいません。

 

政府の言い分としては、専門家が子どもは大人のようにコロナ感染がしにくく、病気にならないという言葉に従いってのことだそうです。さらに学校閉鎖をすることにより、親が子共の面倒をみる必要があるため、医者や看護婦が働きにいけなくなるからだと主張しています。


しかし隣国フィンランドでは、医者や看護婦など社会に必要な職種の家庭ごとに、子どもを学校行かせるかどうかを決め、多くの家庭の子どもを学校にいかせないようにしコロナ感染から守っています。
そのためスウェーデン政府の主張する、医者や看護婦が働きにいけなくなるという理由はどう考えても理屈になっていないのです。
スウェーデン政府が学校を閉鎖したがらない本当の理由は、子どもをもつ親御さんが仕事にいけなくなり経済の低迷をまねくことが、子どもたちの健康よりも重要だからなのです。

 

こうしたスウェーデンの現状をしりつつも、スウェーデンの新聞アフトンブラデットでは、スウェーデン政府が何も政策をださないのは戦略であると述べています。そしてスウェーデンだけが特別な政策をとっているわけではないとして、スウェーデン政府を擁護する記事さえ載せているのです。

 

その引き合いにだされている国の1つに、日本が挙げられています。

www.aftonbladet.se

その記事のでは日本にはマスクをすることが普通の病気でも日常的に行われ、握手もせずお辞儀をする文化があり、人口は1億2千万人もいるにもかかわらず、コロナ感染が1300人以下と世界でも驚異的に低い感染率だと述べています。

 

しかし日本政府は早期から学校をの閉鎖しているが、多くの店は今もオープンしており、さらに日本のコロナ検査数が少ないのもスウェーデンと同じであるとし、あたかもスウェーデン政府のコロナ対策と日本政府のコロナ対策が同じようであるかのように記しています。

 

ただ日本とスウェーデンは全く違います。日本では日本政府と厚生労働省が日夜を惜しまず必死にコロナ感染防止対策を行うことで、巨大都市東京でさえオーバーシュート(爆発的感染)を起こしていないません。しかしスウェーデンは、人口1000万人しかいない小国にもかかわらず、政府がまったく具体的なコロナ防止対策をしないためオーバーシュートが起きてしまいました。こうしたスウェーデン政府と、日本政府を比較すること自体がはなはだしい話なのです。
また日本でも店がオープンしているのだから、スウェーデンでも店を通常どおりにオープンしているのだという論理自体が間違っているのです。

 

さらにこの記事の中では、東京都が首都閉鎖を検討していること、多くの自治体が外出自粛を呼び掛けていることには一切触れていません。この記事はスウェーデン政府の何も規制しないことをどうにか肯定する意図が強く読み取れるものなのです。

 

また韓国のコロナ対策も例えにだしています。韓国は多くのコロナテストを行うことで、街を閉鎖せずにこのコロナ感染拡大を押さえ込めたと記しています。この韓国の例もスウェーデン政府が学校もを閉鎖せず、レストランやバー、フィットネスクラブなど何も閉鎖していない状況を肯定する例えに使われています。

 

さらにイタリアやフランス、スペイン、イギリスも街を閉鎖しているといってはいるが、実際には多くの国民が通勤をし、買い物ができていっていると述べ、スウェーデンと比べて他の国々がそれほどにまで素晴らしい政策をとっているわけではないと、他国を非難さえしているのです。そして最終的にどの国が正しい判断なのかは誰にもわからず、このコロナ問題が終結したときになり初めてどの国が正しかったかわかることだと書き記しています。

 

しかし現実的にスウェーデンに住む多くの人が、なぜスウェーデン政府はまったく具体的なコロナ防止対策をださないのか不安をもち、政府に信頼をおいていない事実があるのです。

 

それにもかかわらず多くのスウェーデンのメディアは、国民の立場を代弁しスウェーデン政府がなぜ対策をたてないのか追及する、強いジャーナリズム精神をみせることもありません。
反対にこの記事のように、スウェーデン政府がまったく対策をこうしない戦略とよぶように、政府の擁護をするメディアが多くいるのです。

 

もし仮にスウェーデン政府が戦略としてあえてコロナ感染防止の対策をこうじないならば、政府方針として経済を重視し今後も何もの閉鎖もおこなわず、これまでと変わらない生活を続けるようにと国民にはっきりと政府の方針を発表すべきです。
しかしスウェーデン政府は、日本の安倍総理のようにテレビやマスコミに毎日のようにでて、国民にはっきりと政府の方針を示すこともありません。


その真相の1つにはスウェーデンにはスウェーデン人特有の「最善の決定は何も決断しないこと(The best decision is not to decide)」という考えがあるからです。日本人には思いもつかない考え方ですが、スウェーデンでは責任をとりたくないときは、何の発言もせず、実行もせず誰かが解決してくれるのをまつのです。そのため今回のコロナ感染問題でもスウェーデン政府は誰にも文句がいわれず、責任も取る必要がない、何の政策も決定しない手段をとっていると考えられます。


こうした考えは普段何もないときにはなんとかごまかせます。しかしこんかいのようなウィルス感染では、ウィルスはこうした人間のごまかしを気にすることもないので、ウィルスの感染がスウェーデンで急速に拡大している状況に陥っているのです。

 

そしてこうした悪い状況下でもスウェーデン政府は、コロナ感染拡大の責任は公衆衛生局になすりつけ自分たちはあまりマスコミにはでてきません。しかし万が一にもこの局面が好転した際は、何の閉鎖も実施せずこの局面を乗り越えたスウェーデン政府の判断が正しいと世界にアピールするのです。これが本当のスウェーデン政府の姿です。

 

このブログを読まれた人の中には、これまで知っていたスウェーデンのイメージと大きく違うと感じる人も多いと思います。実際に私もスウェーデンに来る前まではまったく考えもしていませんでした。

 

しかしこのアフトンブロデット新聞の記事でもわかることですが、スウェーデンの多くのメディアは政府よりの偏向報道を行い人権大国、平和主義、環境大国と触れこむようなプロパガンダ的な報道が多くされています。そのためスウェーデン国民でさえ、スウェーデンは人権尊重や平和主義国であり、政府が間違ったことはしないと信じ切っている人が大半なのです。そして政府よりのメディアはスウェーデンのよい面だけを世界にアピールするので、世界各国もスウェーデンが平和を愛し、人権を尊重する国と信じきっているのです。

 

しかし今回のコロナ感染拡大問題では、スウェーデン政府のごまかし政治は人間ではないウィルスには通用しません。そのためスウェーデンでのコロナ感染拡大を招き、スウェーデン政府のごまかし政治が表にでている状況となっているのです。