海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

コロナ危機下で夏期休暇取得の心配をするスウェーデンの医療従事者

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は14,777人、死亡者1,580人、100万人あたりでは1,463人にもなっています。

 

日本の感染者数が11,135人、死亡者263人、100万人あたりでは88人ですので、スウェーデンは人口あたり16倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。

 

夏に医師や看護師が長期休暇をとり稼働しなくなるスウェーデンの医療の実態

スウェーデンでは6月から8月にかけて多くの人たちが1ヶ月ほどの夏期休暇をとります。

スウェーデンでは日本人には信じられないほど、長期休暇を取得する人が多いのです。


その為多くのスウェーデン企業はほとんど夏に稼働しなくなります。

さらに病院でも多くの医者や看護婦が夏に長期休暇をとるのです


それでは多くの医者や看護師までが長期休暇をとる夏の間、病気になったらどうなるのでしょう?


もちろん医者や看護婦がいなくなるため、夏では普段以上に医者に診察してもらえなくなります

 

スウェーデンでは日常から専門医に診てもらうために数週間以上かかる事は当り前です。
それに加え夏休み中は医師や看護師数が減るため、夏には専門医にほとんど診てもらえなくなり、専門医が夏季休暇から帰ってくるのを待つことが多いのです。
そのため私も何度か夏に病気になり、医師に会えずひどい目にあった経験があります。

 

なのでスウェーデン人の間でも、「夏に病気になるな」というほど夏には医療施設の稼働しなくなるのです。

 

コロナ危機下で夏期休暇取得の心配をするスウェーデンの医療従事者

医者や看護婦でさえも夏に長期休暇をとるスウェーデンですが、現在のコロナ危機で医療従事者が休日の取得をとりにくい状況となっています。


そして3月27日の公共テレビSVTでは、医療従事者が夏季休暇をとれるのかを心配していると報道されています。

 

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SVT 3月27日 保険協会シネバ・リベイロ氏

www.svt.se

保健協会の議長であるシネバ・リベイロ氏は、保健協会の組合員から現在のコロナ危機下のため休憩なしで16時間勤務をすることが許可されており、病院から夏季休暇の話がでてこないと報告を受けていると語っています


また保健協会の議長シネバ・リベイロ氏は

休暇が取れないことは本人が病気になるだけでなく、病院にいる免疫力が弱い患者に感染させる可能性があり、また休暇が取れず他の病気にかかり気分が悪くなる恐れもあります。そのため医療従事者は病院にコロナ感染してはならないのです」


「そのため組合員はこの感染終結後に休暇が必要です。 このコロナ危機の後に質の高い医療を提供できるためには、組合員に自由な休息時間が必要である」と語っています。


また4月19日の地方新聞ワイスタッド・アレハンダによると、カロリンスカ大学病院の集中治療室で看護師であり、ウプサラ医師会の副委員長であるソフィアリンド・ストローム氏は、看護師は休暇を望んではいないと語りつつも、イースター(キリスト復活祭)休暇がとれず多くの看護師の雰囲気が少し低下していると語っています。


また病院としては夏季休暇計画を立てていると言っているが、実際に休暇が取れるかわからず、多くの看護師が夏季休暇をとれるか懸念していると語っているのです。


しかし今まで病院は休暇がないとは発表していないので、夏に何か代わりになる休みをもらおうと考えていると語っています。

 

www.ystadsallehanda.se

 

もちろん休息は大事なことです。人間働きづめはよくないことは間違いありません。

 

ただ現在のコロナ危機で多くの人が亡くなる戦場のような状況下で今話されることでしょうか?

 

日本であればこうした緊急事態下で、休暇取得の話しなどされることはないはずです。

 

またスウェーデンの死者率は74.18%(4月20日時点)にもおよび、日本を含めた多くの国々と比較にならないほどの死者率を出しています。

 

にもかかわらずスウェーデンでは集中治療室で働く医療従事者が長期休暇をとれるか心し、保険協会に報告がされています。

 

これが労働者の権利が手厚い国と受け取るか、人命より休暇のが重要であると受け取るかは、読まれた方の判断です。


しかし日頃から自然災害が多く、非常事態下では人々が協力し、助け合うことが常識となっている日本人としては、少し考えるところがあるのではないでしょうか?