海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

3月28日 スウェーデン首相と日本の安倍総理の演説の比較

本日、安倍総理が新型コロナ対策についての記者会見がありました。

安倍総理は現在の日本はコロナの爆発的拡大にいたる水際であるとし、海外での感染拡大の例を挙げ日本でも短期間で同じ状況になるかもしれないため、最大限の警戒をお願いしたいと国民に訴えかけました。


しかし政府としては一日も早く国民の不安をとりのぞくために、コロナ治療薬やワクチンの開発を加速していくと述べ、すでにG7/G20サミットで各国首脳から賛同をえていると述べています。


さらに新型コロナウイルス対策として、抗インフルエンザ薬として以前から備蓄している「アビガン」の投与をすでにはじめており、希望する国々と協力して臨床研究を拡大し治験プロセスの開始していくと表明しました。


また他の薬も含め大学や民間の機関の研究に対し力強く後押しし、あらゆる可能性を追求することも強調されているのです。


学校が再開されることに関しても、来週に専門家会合の開催を明らかにし、専門的見地から意見をうかがうとのことです。そして時点のコロナの拡大状況を判断して、最終的に学校再開を決定すると柔軟的な対応決定すると述べられています。

このように日本はありとあらゆる対策を迅速かつ柔軟的に講じて、国民をコロナ感染から守る努力をしていることがわかります。

海外での感染拡大の例を挙げ、「日本でも短期間で同じ状況になっているかもしれない。最大限の警戒をお願いしたい」と国民に訴えた。
海外での感染拡大の例を挙げ、「日本でも短期間で同じ状況になっているかもしれない。最大限の警戒をお願いしたい」と国民に訴えた。

www.kantei.go.jp

 

それではスウェーデンのロベーン首相はどうなのでしょう?


3月22日にスウェーデンのロベーン首相がテレビで演説を行いました。

この際にロベーン首相が述べたことは、国民に今を耐え抜き、パニックを起こさないようにと述べただけでした。そしてこの演説の中で、政府としての具体的なコロナ感染拡大を防止措置について一切表明していません。

 

さらにコロナを拡散しないようにするのは「国民一人ひとりの責任」であると述べているのです。

 

あまりスウェーデンの国民性を知るかたは多くいないと思いますが、スウェーデン人は「責任」という言葉を非常に嫌います。私がスウェーデンで働いていてスウェーデン人から「責任」という言葉を聞いたことは一度もありません。そのスウェーデン人が一番嫌う責任という言葉を首相は使い、国民にその責任を押し付けているのです。

 

さらにスウェーデンの法律的に解釈しても、政府が公衆衛生上の最終的責任をもっているため、国民に責任があるという発言自体が法律に反しているのです。

こうした法律にも反するような言葉を、緊急事態時下の演説で平気で発しているのです。

 

さらに記者会見ではないため、どのメディアもその場におらず、この演説への質問をしたくても、質問することすらもできません。一体この演説の目的がなんであったのかもわからないような、一方的な演説であったのです。


日本の安倍首相の演説と比較すると、スウェーデンのロベーン首相の演説には国民を守ろうという責任や意思が明らかにないことがわかり、演説内容の薄さがよくわかります。

 

もしスウェーデン語がわかるようでしたら、このページにリンクしてあるロベーン首相の演説と安倍首相の演説を聴き比べてみてください。

 

www.svt.se

またよく日本のコロナ感染者数が欧米と比べて非常に少ないことが、疑問視されコロナ検査が少なすぎるからではないかと欧米メディアが日本の統計に疑いをかけています。


しかしスウェーデンのコロナ拡大をみますと、いまだに具体的なコロナ防止策も講じていないため、スウェーデンでコロナが爆発的に拡大しているのは明白です。


また他のヨーロッパ諸国も、日本のように、マスクの備蓄やアビガンのような抗インフルエンザ薬の備蓄など、新型ウィルスが発生した時の予防策をコロナ感染が起きる以前から準備できてはいませんでした。

 

そうした日頃からの危機意識の違いが、日本と欧米諸国との大きな違いをうみ、日本は欧米諸国と違いコロナ感染の爆発的な拡大を現在も防いでいると考えられるのです。