海外発、スウェーデン 現地レポート

日本では理想郷としてよく取り上げられるスウェーデンという国ですが、実際あまり観光で来たり、現地の人と一緒に働き生活をしたことがある人はいないかと思います。 そうしたあまりよく知られていないスウェーデンという国を、実際のスウェーデンでの実際の生活や働きぶりを通してレポートしていきたいと思っています。

4月15日 真っ先に従業員のリストラを行うコスト重視スウェーデン企業

 

本日のスウェーデン感染者状況

本日におけるスウェーデンの感染者総数は11,927人、死亡者1,203人、100万人あたりでは1,181人にもなっています。

 

日本の感染者数が8,100人、死亡者146人、100万人あたりでは64人ですので、スウェーデンは人口あたり18倍以上も日本よりコロナ感染が広がっていることになります。

 

スウェーデン国内で、1週間で6,600人、3月から5万6,000人が解雇

4月14日の公共テレビSVTによると、先週だけで、スウェーデン国内で6,600人もの人が企業から解雇通知を受けたと報道されました。

 

そして3月1日から4月14日までの約1ヶ月半だけで、56,000人もの解雇通知を受け、82,000人が職を失ったと報道されています。

 

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特に大きな解雇としては、3月15日の新聞DNによれば、航空会社SASは、従業員の90%にあたる1万人の解雇を発表しました。

 

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また3月23日の新聞SvDによると、自動車会社ボルボも全ての契約社員の解雇を発表しました。スウェーデン国内では約5,000人の契約社員がボルボで働いていますので、これらの人たちが皆、職を失うことになるのです。

 

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実に多くのスウェーデン企業がコロナ危機により、即座に従業員の解雇を行っていることがわかります。

 

スウェーデン企業と日本企業との比較

日本企業も今回のコロナ危機により大ダメージを受けています。

 

しかしトヨタ自動車は、国内で大規模な生産ラインの休止に踏み切りましたが、今も解雇はしていません。

 

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トヨタ自動車は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、北米の生産拠点の操業停止を来月1日まで延長することを決めました。アメリカの工場で働く期間従業員、およそ5,000人を対象に仕事を一時的に休ませる一時帰休を行います。

 

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ホンダもアメリカで1万人規模の従業員の一時帰休をはじめましたが、リストラはされていません。

 

三菱自動車も日経新聞によれば国内3工場の従業員を対象に一時帰休を実施しはじめ、一部の工場では給与の8割程度を手当てとすると報道されています。

 

フランスの自動車会社ルノーと資本提携をしている日産自動車以外の日本の主要自動車企業では、工場を停止し一時帰休はするものの、従業員の雇用は守っているのです。


日本の航空会社のJALやANAも同様に、運休や一時帰休をはじめるなどはするものの、リストラは行っていません。

 

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真っ先に従業員のリストラを行うコスト重視スウェーデン企業

しかしスウェーデンでは今回のコロナ危機だけではなく、常日頃から少しでも企業は経営難となれば、リストラを避けて経営を見なおすわけではなく、真っ先に実行されるのは従業員のリストラなのです。

 

その為今回のコロナ危機でも、従業員の雇用を守ることはなく、真っ先に従業員のリストラが実行されています。


それでは現在のコロナ危機の間に、国民にはスウェーデン政府から手厚い保護があるのかというと、スウェーデンではいまだに国民を守るためのコロナ拡散防止規制ももうけておらず、日本やアメリカのような国民への支給金もありません。


しかし反面スウェーデンにコロナ危機が直面し、政府がは3月4日に真っ先に実行した政策は、国民を守る政策ではなく、企業救済の法律制定だったのです。

 

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今回のコロナ危機をとうしてみても、スウェーデン政府が国民救済よりも、企業救済を第一にしていることがよくわかるのです。


また企業も自己救済にためであれば、従業員が路頭に迷おうが、容赦なく従業員の解雇をためらいません。

多くの日本人はスウェーデンが社会主義的な資本主義で、人道主義を唱えているため、公平で人道的なイメージが強いかもしれません。


しかし実際のスウェーデンでは、政府は企業の保護には力を入れますが国民の保護はされず、企業も経営難となれば、日本企業とはまったく違い社員を守らず真っ先にリストラの実行がされます。


このようにスウェーデンでは政府も企業も、人よりもコストを重視しており、実はとても資本主義的な国なのです。